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「最低。大樹がそんなヤツだとは思わなかった!」


萌の話を聞き終えた希はまるで自分のことのように怒ってくれた。


顔が真っ赤になって、拳を握りしめている。


萌は希が貸してくれたハンカチを握りしめて目に押し当てている。


さっきから泣きっぱなしで、目は真っ赤に充血していた。


「ごめんね、希は心配してくれてたのに、私聞く耳もたなくて」


「そんなこと気にしなくていいよ。私だって、萌にひどいことしたんだし……」


萌はふるふると左右うに首をふる。


「大樹とはしばらく離れてみる」


萌が出した答えは中途半端なものだった。


だけど今の自分が決断できるのはそこまでだった。


大樹のことはまだ好きだし、一緒にいたいと思っている。


あのキスはなにかの間違いではないかいかと期待している部分もある。


あんなにハッキリ目撃したのに……。


「うん。それがいいよ。無理はしないで」


希の言葉に萌は大きく頷いたのだった。