萌がどうして突然こんな質問をしてきたのかわからない。


「普通じゃないよ。すごく、モテるよ」


「そうなのか?」


「うん。だから、だからさぁ……」


萌は言葉を切って地面を睨みつけた。


もっとスッキリと質問することができてばいいのにと、下唇を噛みしめる。


だけど、浮気しているか質問をして、それに対して肯定されたらどうすればいい?


この関係はそれで終わりになっちゃう?


そう思うと、とても直球を投げかける気分にはなれなかった。


「萌?」


心配そうな顔で萌の顔を覗き込む。


「もしかして体調悪い?」


「ううん、大丈夫だよ」


やっぱり、こんなに自分のことを心配してくれている大樹に変なことは聞けない。


でも、気になる……。


「じゃあ、また明日」


いつもと同じように玄関先でキスをして、大樹の背中を見えなくなるまで見送る。


しかし、今日は大樹が角を曲がって行く前に萌はその後を追いかけていた。


小走りに距離を詰めて大樹を見失わないようについていく。


大樹は歩道を歩きながら時々スマホを確認し、どこか慌てた様子で歩いていく。


大股に歩く大樹についていくのは大変だったけれど、ここで見失うわけにはいかなかった。


本人に直接質問する勇気がないのなら、こうして後をつけて確認してみるしか方法はないのだから。


しばらく追いかけたところで大樹は公園へ入っていった。


その公園は小さくで遊具も少なく、あまり人の姿を見ない公園だ。


フェンス越しに覗いて見ると、今日もその公園には誰もいない様子だった。


こんな寂しい公園でなにをするつもりなんだろう……。