「それにさ、今どきそういう人材って貴重だと思うよ? 結婚して子供がほしいって思える女性がどれだけいることか」


希はため息まじりに言う。


その様子がまるでオッサンみたいでつい笑ってしまった。


「相手がいるかいないか問題もだけど、経済的にも余裕がなくてお嫁さんなんてやってらんない! って人も多いんじゃない?」


「そうなのかな?」


もし自分の夢が叶うことができたら。


もし本当にお嫁さんになることができるのなら。


私は誰のお嫁さんになりたいだろう?


ふと真剣に考えたとき、大樹の顔が脳裏をかすめた。


その瞬間また顔が熱くなるのを感じる。


「どうしたの?」


「な、なんでもない」


不審そうにこちらを見つめる希から逃げるように、私はうつむいたのだった。