萌の声が思わず荒くなる。


どうして希はこんな嘘をつくんだろう。


私が幸せなことが嫌なんだろうか?


「本当なんだってば! だから私心配で……」


「そんな心配はいらないよ。公園にいたのはきっと大樹じゃなくて人違いだから」


萌は希を突っぱねるように言い返す。


希はもしかしたらまだ大樹のことが好きで、だからこんな意地悪なことを言っているのかもしれない。


「そんなことない! 私が觀間違うはずないでしょ!?」


「なにそれ、どういう意味?」


「だ、だから。私は大樹の幼馴染だから!」


「それって私への嫌味なの? 幼馴染だから自分のほうが大樹のことをよく知ってるっていいたいの?」


つい、声色が強くなってしまう。


せっかく希と仲直りをすることができたのに、どうしてこんなこと言われなきゃいけないのか。


萌には正常な判断ができなくなっていた。


「ちょっと待って、萌!」


後から希の声が聞こえてきても、萌は無視をして教室へと戻ったのだった。