この神社はなんでも願いを叶えてくれると噂になっていて、本当に必要な人だけがたどり着くことのできる場所だと、ねっと上で有名になっていた。


萌の病気を知った大樹は藁にもすがる思いでその都市伝説を信じ、行動していたのだ。


「お願いします! 俺はどんなことでもします! だから、萌を……!」


神社の前で膝をついて懇願した次の瞬間、また場面が切り替わった。


今度は写真のように次から次へと新しい場面が現れては消えていく。


それは大樹が様々な女の子たちとキスをしている場面だった。


背の低い子。


背の高い子。


髪の短い子。


髪の長い子。


そのどれもが萌ではなかった。


大樹とって萌以外の女の子たちはみんな白い仮面をかぶっているように見える。


それでも大樹はそんな子たちに口づけを求め続けた……。


ハッと息を飲んで目をさますと、窓からは朝日が差し込み、スマホのアラームが鳴っていた。


大樹は早鐘を打っている心臓を胸の上から抑えて、アラームを消したのだった。