☆☆☆
萌の退院祝いは1時間ほどで終わった。
本当はもっと友達と話たいことがあったのだけれど、先生との約束で時間が決められていたのだ。
「すっごく楽しかったね!」
パーティーに無理やり参加させられた大樹だったが、その後部活に戻ること無く萌を家まで送り届けてくれていた。
「あぁ。ほんとみんないいやつばかりで安心した」
大樹の表情は明るく穏やかだ。
希が気持ちを改めたのは萌の病気を知ったせいだと思うが、それでも萌が学校に行きやすくなるのであれば、あれでよかったのだと感じられた。
「最近、不思議に感じることがあるんだぁ」
萌は白い小石を蹴って歩きながらつぶやく。
真夏が近くなっているようで、歩道を歩いているだけで肌がジリジリとやけてくるようだ。
大樹は萌に日陰を歩かせながら話を聞いた。
「不思議って?」
「今日もそうだったんだけど、大樹とキスをすると体が元気になる気がするの」
嬉しそうに、少しテレたように言う萌に大樹の心臓はドキッと跳ねる。
「好きな相手とのキスだから、それだけで元気になるんじゃないか?」
内心焦りを感じながらも、どうにか悟られないように会話を続ける。
「そうかもしれないね。でも、気持ちだけじゃなくて本当に体がよくなる気がするの。数値だって、ずっと落ち着いてるしさ」
「病は気からって言うし、そういうこともあるかもしれないよな」
「だったらすごいよね。私、大樹のキスで病気が治るかもしれないんだから」
跳ねるように歩く萌は末期がんの患者とは思えないほどだ。
そこには苦しみも悲しみも存在していない。
病気であることが夢みたいだ。
「そんなことより、明日は学校休みだろ。萌はなにするんだ?」
萌の退院祝いは1時間ほどで終わった。
本当はもっと友達と話たいことがあったのだけれど、先生との約束で時間が決められていたのだ。
「すっごく楽しかったね!」
パーティーに無理やり参加させられた大樹だったが、その後部活に戻ること無く萌を家まで送り届けてくれていた。
「あぁ。ほんとみんないいやつばかりで安心した」
大樹の表情は明るく穏やかだ。
希が気持ちを改めたのは萌の病気を知ったせいだと思うが、それでも萌が学校に行きやすくなるのであれば、あれでよかったのだと感じられた。
「最近、不思議に感じることがあるんだぁ」
萌は白い小石を蹴って歩きながらつぶやく。
真夏が近くなっているようで、歩道を歩いているだけで肌がジリジリとやけてくるようだ。
大樹は萌に日陰を歩かせながら話を聞いた。
「不思議って?」
「今日もそうだったんだけど、大樹とキスをすると体が元気になる気がするの」
嬉しそうに、少しテレたように言う萌に大樹の心臓はドキッと跳ねる。
「好きな相手とのキスだから、それだけで元気になるんじゃないか?」
内心焦りを感じながらも、どうにか悟られないように会話を続ける。
「そうかもしれないね。でも、気持ちだけじゃなくて本当に体がよくなる気がするの。数値だって、ずっと落ち着いてるしさ」
「病は気からって言うし、そういうこともあるかもしれないよな」
「だったらすごいよね。私、大樹のキスで病気が治るかもしれないんだから」
跳ねるように歩く萌は末期がんの患者とは思えないほどだ。
そこには苦しみも悲しみも存在していない。
病気であることが夢みたいだ。
「そんなことより、明日は学校休みだろ。萌はなにするんだ?」