身長も体重もそんなに変わりないのに、希のことがこんなに小さいと感じたのは初めてのことだった。


「ごめん。本当にごめん」


「大丈夫だよ希。私はまたこうしてみんなと仲良くすることができるんだから」


もらった花束からはとても甘くていい香りがしてきている。


それはみんなが一生懸命選んでくれたからだと萌は感じていた。


「萌、ごめんね」


他のクラスメートたちが駆け寄ってくる。


「萌、退院おめでとう」


ごめんねとおめでとうが混在して萌は誰になんと答えたのかわからなくなっていた。


けれども気がつけば机の上には用意されていたジュースやお菓子が並び、みんなが笑顔になっていた。


「学校でこんなことして大丈夫なの?」


楽しくてつい忘れてしまいそうになるが、ここは学校だ。


バレたら怒られるんじゃないかと思って、萌は希に聞いた。


「大丈夫だよ、ちゃんと先生には伝えてあるから」


そう聞いて萌はまた嬉しくなった。


普段は厳格そうな先生が教室内での退院祝いを許可してくれたのだ。


こんなに楽しいことはなかった。


ずっとずっとこんな時間が続けばいい。


みんなで笑い合って、楽しい時間だけが続いていけばいい。


そう思ったときだった。


「実は今日はクラスにゲストを呼んであるんだ」