これだけの約束を交わしたからこそ、両親は萌が学校へ行くことを許してくれていたのだ。


「先生だけじゃない。今回はなにかあったら他の子たちにも頼りなさい」


父親の言葉に萌は一瞬眉間にシワを寄せた。


自分の病気については先生と今は大樹にしか教えていない。


「もう3度も学校で倒れてるんだ。気がついてる子もいるんじゃないのか?」


そう言われてハッとした。


いくらなんでも普通じゃないと気が付きはじめている生徒は沢山いるかもしれない。


もしかしたら、希も……。


希の顔を思い出すと胸の奥がチクリと痛む。


不意に呼吸が苦しくなってきそうで怖くて、萌はギュッと拳を握りしめた。


「そうだね、わかった」


青い顔をした萌はそう答えるのがやっとだった。