そのおかげで胸のつっかえは取れて、初恋なんて無理にするものじゃないと思えるようになっていたのだ。


それがまさか、自分がマンガやドラマの世界と同じような気持ちになる日が来るなんて……。


「萌、なにニヤついてんの?」


希に聞かれて萌はとっさにスマホを机の中に隠した。


大樹と番号を交換して以降、毎日のように連絡がきている。


それはとても他愛ないもので、授業がつまらないとか、お腹が減ったとかいうものがほとんどだ。


だけどそれを受け取るたびに様々な表情をした大樹の顔が浮かんできて、ついニヤけてしまうのだ。


「なんでもないよ」


「本当に?」


希は疑い深そうな顔を萌に向ける。


「それよりさ、今の進路希望ってもう決まった?」


萌は話を逸らすためにそう言った。


さっき終わった授業の中で、早い人はすでに進学先を決めていると先生が言っていたのを思い出したのだ。