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大樹が病院に来てくれたのはそれから30分後のことだった。


「萌、大丈夫か?」


「もうすっかり平気だよ」


また心配をかけてしまったことが心苦しい。


これ以上自分と一緒にいて大樹は本当に幸せなんだろうかと考えてしまう。


「大樹くんが来てくれたなら、お母さん一旦帰って夕飯の支度をしたいんだけど、いい?」


「もちろんです。俺がここにいるので、行ってきてください」


「ありがとう。大樹くんがいてくれて本当に助かったわ」


そう言って病室を出ていく母親の後ろ姿を見送り、萌は大樹へ視線を向けた。


大樹はさっきまで母親が座っていた丸椅子に腰をおろしている。


母親はああ言っていたけれど、きっと私達をふたりきりにさせてくれたんだ。


私はまだ大樹に大切なことを話せていないから。


「心配かけてばかりでごめんね」


「何言ってんだよ。これくらいの心配いくらでもかけろっての」


大樹は胸を張って笑っている。


その姿に萌の緊張がほぐれていく。


「何度も倒れて、きっともう普通じゃないってわかってるよね?」


「体が弱いってことくらい、もう知ってるよ」


大樹の言葉に萌は左右に首を振った。


今まで大樹のことを騙していたような気持ちになり、胸の奥がチクチクと痛む。


この痛みを取り除くためにも、今日はちゃんと伝えないといけない。


「ただ、体が弱いだけじゃないの」


伝えると決めたのに、怖くて声が震えてしまう。


今にも涙がこぼれだしてしまいそうだ。