その日はとても天気がよくてもうすぐ梅雨に入るなんて信じられないようだった。


6月上旬の真っ青な空の下を福永萌と内山希は歩いていた。


ふたりの手には最近駅前にできたばかりの雑貨屋の買い物袋が握られている。


「いい買い物したね」


栗色の髪の毛を耳の後でふたつに束ねた希が嬉しそうに言う。


黒髪ショーットカットの萌も「そうだね」と、同意した。


袋の中にはお揃いのペンケースや消しゴムなどが入っていて、歩くたびにガサガサとナイロン袋が音を立てる。


「新しいお店には一度は行っておかないとみんなの話題にもついていけなくなるしさぁ。私らも大変だよねぇ?」


「わかる! 実際あの雑貨屋同じ学校の子結構いたもんね?」


学生向けの雑貨屋の中は休日になるとお客さんでごった返すようになり、棚と棚の間を歩くのも一苦労だった。


だけどそのかいがあって以前からふたりが欲しかった文房具を手に入れることができた。


有名メーカーの商品で値段は決して安くはないけれど、いつかふたりで同じものを持つためにお小遣いをためてきたのだ。


「でもさ、バイト組の子たちはこれくらいのもの平気で買っちゃうよねぇ」


希の言葉に萌はまた頷いた。