「ねぇ、本当にこんな所にそんな素敵な場所があるの?」
 食材の袋を持ちながら森さんは息を切らしながら言う。
「ハイキングコースからは離れてるけど、だから逆に人目につかないんだよ。もうすぐだから頑張ろう!」
 俺も両手に器具を持って息切れしながら言った。
「ホント! マジでビビるよ! すんげーイイとこだから!」
 山根はホラッと森さんの荷物を一つ持ってあげる。そして、俺に目で合図を送る。
 杉川さんもつらそうだ。
「もう少しで着くよ!」
 俺は心の底から湧いて来る照れを抑えながら、杉川さんの荷物を一つ取った。
「ありがとう」
 少し息切れしながら言ってくれたお礼の言葉、そして笑顔に俺は即座にエネルギーが満タンになった。
 それから約十五分。道なき道を歩いてようやくあの場所に着いた。
「うっそ! すごい! なにこれーー!」
「すごい! すごい!」
 予想通り。森さんと杉川さんは一気に元気を取り戻した。
「な! やばいっしょ!?」
 山根と俺は荷物を置いて直ぐにラムネを川に浸ける。川はひんやりと気持ち良かった。
「二人とも! 冷たくて気持ちいいぞー!」
 荷物を置いて一休みしている女子に山根が手を振る。
「いいねー! 今、行くー!」
 俺達四人は裾をまくって川の浅瀬に立つ。緩やかな流れが気持ちいい。
「おら!」
 山根が定番のように俺に水をかける。俺もかけ返す。
「ちょっと! 冷たい!」
 とばっちりを受けた森さんが俺に思いっきり水をかけた。
「つめてー!」
 俺は向きになって四方八方に水を飛ばす。悲鳴を上げて逃げる女子。負けじとかけ返す山根。全員笑っていた。