スーパーで買った食材を折り畳みのマイバッグに入れてお店を出る。自然と車道側になって歩いてくれる私より背が高い櫻ちゃんは私の右手からマイバッグを取り上げて自分の左手に持ってくれる。前までは遠慮して取り返そうとしていたけれど、今になっては当たり前になりつつあって頼りっぱなしだ。でも何も持っていない私の左手と櫻ちゃんの右手が時折ぶつかって触れる瞬間は未だにドキドキしてしまう。このドキドキな感情は当たり前になって欲しくないなと思いながら私達は櫻ちゃんの家に歩いて行った。
「もー、ちゃんとした物食べてるの?」
櫻ちゃんの一人暮らしの部屋に着くと私は真っ先にキッチンに向かう。先程スーパーで買った食材を冷蔵庫にしまうためでもあるけど、キッチンのゴミ箱に捨てられている物を確認するためでもあった。ゴミはきちんと分別されている。しかし問題は中身だった。栄養ドリンクや飲むゼリーなどの簡単に栄養が摂れるものばかり。それが悪い訳ではないけどスポーツをしている櫻ちゃんにとってはもう少しちゃんとした物を摂取してほしい。
「まだ慣れてない部分が多いから忙しくて…。すぐに摂れる物しか食べてないかも」
「もう!せっかくエースなのにそんなんじゃダメでしょ!」
「すみません……」
「今日は多めに作り置きしておくから」
「ありがとう。先輩」
「全く、調子いいんだから」
ぶつくさ言っている私だけど愛しい彼女の嬉しそうに笑う笑顔に口角が上がりそうになってしまってる。たぶん、櫻ちゃんには見抜かれているけど見られないように顔を背けた。
私、小日向七海と松本櫻は恋人だ。
付き合い始めて3年は経つ。中学の頃からの付き合いで櫻ちゃんは私の1個下の後輩にあたる。そして私が高校2年生の時、櫻ちゃんに連れられた遊園地の観覧車の中で告白されて付き合うことになった。しかし私達の恋愛は現在少しずつ広まってはきているが全ての人が理解をしているわけではない。同性同士の恋愛は拒絶する人だってまだ沢山いる。だから私は周りに恋人はいると言っているが、櫻ちゃんを紹介したことはない。例外を除いて。
そんな事を考えつつ私は作り置きの調理と今日の夕食を同時進行で進める。後ろでは櫻ちゃんが食材を渡してくれたり、私にちょっかいを出したりしている。悪戯を交わしながら私は野菜炒めをタッパーに詰めた。
「そういえば今日保那くんと遊んだよ」
「え?そうなの?2人で?」
「ううん。大学の友達と3人で」
「またスイーツ?」
「パンケーキ食べに行った。凄く美味しかったし、甘いやつ以外もあるから今度行こう?」
「絶対行く」
ゆで卵を味玉にするためジップロックの中にめんつゆと卵を入れながら今日の話をする。保那くんとは何回かスイーツを食べに行っているけど、一応異性だからなのか櫻ちゃんは心配している。でも保那くんを恋愛的な目で見たことないし、見るつもりもない。それを櫻ちゃんもわかっているし櫻ちゃんも保那くんの事を信用している。でも心配らしい。
「大学の友達は美湖ちゃんって言うの。大学では喋ってるけど休日に会うのは初めてだったんだけど、とても楽しかったよ。美湖ちゃんも楽しんでくれてたら良いんだけど」
「きっと楽しかったと思うよ。私の勘だけど」
「櫻ちゃんがそう言ってくれるなら安心」
櫻ちゃんは私の頭を撫でながらそう言う。年下から子供扱いされるのは嫌だけど櫻ちゃんなら別だ。保那くんが言うように先輩のようで私よりも年上に見えてしまう。頭から心地よい感覚が走って胸が温かくなる。抱きしめたいけど今は包丁を持っているので我慢。すると櫻ちゃんが私の心を見透かしたように後ろから抱きしめてきた。バレーボールをやっているくらいだから櫻ちゃんは身長が高くて私は腕の中にすっぽりと入ってしまう。
「包丁使ってる」
「なら置いて?休憩しよ」
「……もう」
包丁をシンクの中に置いて私は後ろを振り向き抱きしめる。2人の体温が一つになっていくこの瞬間が大好きだ。私は強く抱きしめる。ずっと離さないという重い愛を込めながら。
「もー、ちゃんとした物食べてるの?」
櫻ちゃんの一人暮らしの部屋に着くと私は真っ先にキッチンに向かう。先程スーパーで買った食材を冷蔵庫にしまうためでもあるけど、キッチンのゴミ箱に捨てられている物を確認するためでもあった。ゴミはきちんと分別されている。しかし問題は中身だった。栄養ドリンクや飲むゼリーなどの簡単に栄養が摂れるものばかり。それが悪い訳ではないけどスポーツをしている櫻ちゃんにとってはもう少しちゃんとした物を摂取してほしい。
「まだ慣れてない部分が多いから忙しくて…。すぐに摂れる物しか食べてないかも」
「もう!せっかくエースなのにそんなんじゃダメでしょ!」
「すみません……」
「今日は多めに作り置きしておくから」
「ありがとう。先輩」
「全く、調子いいんだから」
ぶつくさ言っている私だけど愛しい彼女の嬉しそうに笑う笑顔に口角が上がりそうになってしまってる。たぶん、櫻ちゃんには見抜かれているけど見られないように顔を背けた。
私、小日向七海と松本櫻は恋人だ。
付き合い始めて3年は経つ。中学の頃からの付き合いで櫻ちゃんは私の1個下の後輩にあたる。そして私が高校2年生の時、櫻ちゃんに連れられた遊園地の観覧車の中で告白されて付き合うことになった。しかし私達の恋愛は現在少しずつ広まってはきているが全ての人が理解をしているわけではない。同性同士の恋愛は拒絶する人だってまだ沢山いる。だから私は周りに恋人はいると言っているが、櫻ちゃんを紹介したことはない。例外を除いて。
そんな事を考えつつ私は作り置きの調理と今日の夕食を同時進行で進める。後ろでは櫻ちゃんが食材を渡してくれたり、私にちょっかいを出したりしている。悪戯を交わしながら私は野菜炒めをタッパーに詰めた。
「そういえば今日保那くんと遊んだよ」
「え?そうなの?2人で?」
「ううん。大学の友達と3人で」
「またスイーツ?」
「パンケーキ食べに行った。凄く美味しかったし、甘いやつ以外もあるから今度行こう?」
「絶対行く」
ゆで卵を味玉にするためジップロックの中にめんつゆと卵を入れながら今日の話をする。保那くんとは何回かスイーツを食べに行っているけど、一応異性だからなのか櫻ちゃんは心配している。でも保那くんを恋愛的な目で見たことないし、見るつもりもない。それを櫻ちゃんもわかっているし櫻ちゃんも保那くんの事を信用している。でも心配らしい。
「大学の友達は美湖ちゃんって言うの。大学では喋ってるけど休日に会うのは初めてだったんだけど、とても楽しかったよ。美湖ちゃんも楽しんでくれてたら良いんだけど」
「きっと楽しかったと思うよ。私の勘だけど」
「櫻ちゃんがそう言ってくれるなら安心」
櫻ちゃんは私の頭を撫でながらそう言う。年下から子供扱いされるのは嫌だけど櫻ちゃんなら別だ。保那くんが言うように先輩のようで私よりも年上に見えてしまう。頭から心地よい感覚が走って胸が温かくなる。抱きしめたいけど今は包丁を持っているので我慢。すると櫻ちゃんが私の心を見透かしたように後ろから抱きしめてきた。バレーボールをやっているくらいだから櫻ちゃんは身長が高くて私は腕の中にすっぽりと入ってしまう。
「包丁使ってる」
「なら置いて?休憩しよ」
「……もう」
包丁をシンクの中に置いて私は後ろを振り向き抱きしめる。2人の体温が一つになっていくこの瞬間が大好きだ。私は強く抱きしめる。ずっと離さないという重い愛を込めながら。