私は小日向七海。現在大学2年生。好きな食べ物…は最近味がよくわからなくて無い。将来の夢…なんて先の景色が真っ黒なのに描けるはずがない。今の私は進めば進むほど人の群れからはみ出して行く。実際、今もどうしたらいいかわからずただスマホをいじっている廃人となっていた。
こんな時、彼女がいたらきっと優しい言葉をかけてくれるはずだ。しかし貴方は私の元を去っていった。

「先輩、私はもう疲れました。だから休ませてください」

数日前に言われた言葉が鮮明に脳内に残っている。顔も涙も言葉も全て。予想外の告白と初めて見る彼女の涙で私の口は閉ざされ、自分の意思で口を開けられるようになった時にはもう目の前から彼女は消えていた。きっとその時、彼女の部屋ではなく私の部屋で会いたいと言ったのはきっと彼女が私から逃げれるようにという作戦だろう。何度も電話をかけてメッセージを送ったけど、既読は一切付かなかった。私は彼女を大切にしてきた。愛も伝えたし与えた。だから側にいることを拒絶されるのは全く頭にはなかったし、むしろもっと好きになって貰えると思っていた。……それが振られる前の考え方だった。
振られた日の夜、信頼している友達から電話がかかってきた。スマホの表示を見て、私は慰めて貰おうと電話を取る。でも友達はいつもより低く、そして私に言い聞かせるような口調で

「しばらくの間、私と七海の距離を空けてほしい」

そう言われて、私が声を出す前に一方的に電話を切られる。思わずスマホを落としてしまってケースが欠けてしまった。それでも私は拾えなかった。愛している彼女。そして信頼していた友達。1日で2人の存在を失った事実に彼女の前でも、電話を落とした後も涙が溢れ出した。雫は床に何滴も落ちて濡れさせる。信頼してる人なら離れることはない。……それが電話がかかってくる1秒前までの考え方だった。
全て、私が考えていたことはハズレだったのだ。そんなことを今更気づく。愛を与え過ぎると離れられてしまい、信頼し過ぎると冷たい言葉へのダメージが大きい。初めて身に学んだ。私はスマホをポチポチとタップしながら反省会をする。毎日のように反省会を脳内で開いては心が病むというのを繰り返していた。そして彼女と離れてから占いサイトをよく見る。彼女が好きだった占い。以前までは隣で結果が良いと笑って私に画面を見せてくれたこともあった。私は無料で占えるサイトに飛んで復縁占いと人生占いをする。新しい占いが更新されてないかと毎日のようにページを開き占う。でも、彼女のように占いを信じる心がないから例え良い結果だとしても喜べなかった。
私はこれからどうしたら良いのだろう。周りに頼れる人は居なくなった。出会いを試しに占っても信じれない。私はスマホをベッドに投げて自分の身体もベッドへと倒れ込ませた。2人が離れた以上私から近づくことはできない。待ってもきっと来てはくれないだろう。また私は1人、反省会をするためにうつ伏せになって目を閉じた。