うおおおおおおんっ!

 雄たけびとともに現れたのは、三つの頭を持つ狼だった。

 この地下道のボスモンスター『トライファング』。

 三つの頭で1ターンにつき三連続攻撃を仕掛けてくる敵だ。

「フロアボスが現れたな」
「あたしが排除します」

 剣を抜くコーデリア。

 彼女の魔法は氷雪系が多い。
 ダンジョン内では崩落の危険があるため、爆裂系の魔法やスキルは使いづらい。

 そして俺の得意技は、その爆裂系が多い。
 ここはコーデリアが適任かもしれないな。

「じゃあ、任せるよ」

 フロアボスの力は、コーデリアでも十分に倒せるレベルだったはず。

 俺は、今回は見学に回ることにした。



「【斬撃】【氷嵐】」

 コーデリアが剣術スキルで攻撃しつつ、氷の魔法を放つ。

 剣と魔法の同時攻撃!
 ボスモンスターは大きく後退した。

 そこへ、すかさず突進するコーデリア。
 相手の隙を逃さず、

「【上級斬撃】!」

 必殺の一撃を叩きこむ。

 俺の【超級斬撃】ほどじゃないが、十分に高威力の攻撃だった。

 ざんっっっ!

 見事に両断する。

 強い――。
『トライファング』に必殺の三連続攻撃を出させる前に、一瞬で片付けてしまった。

「すごいじゃないか、コーデリア。圧勝だ!」

 俺は思わず叫んだ。

「お褒めにあずかり光栄です」

 一礼する彼女。
 ――そのとき、地面がふたたび揺れた。

「えっ……!?」

 こんな演出は知らない。
 フロアボスを撃破したら、後は地下道の出口を抜けて、先へ進めるはずだ。

 ちなみに道を塞いでいた『ギガントロック』はこの時点では戦わないし、倒すこともできない。

 奴との決戦はもっと先のイベントである。

 おおおおおおおんっ。

 咆哮が、響いた。

 そして、新たなモンスターが俺たちの前に現れた――。