どー……んっ!

 そのとき離れた場所で爆発音が響いた。

「なんだ……!?」

 敵襲……?

「まさか、覇王アルドーザの一派か!?」

 俺は慌ててバルコニーを出ると、爆発がした方向に走った。
 すでに何人もの衛兵が集まっている。

 取り囲まれているのは、一人の男。

「こいつは――」

 黒いローブやフードをかぶっていて顔が見えなかった。

 俺が知っている『エルシド』のキャラクターにこんな姿のやつはいない。
 ただ、ローブとフードを取れば、その下は俺の見知ったキャラかもしれない。

「何者だ。アルドーザの一味か?」

 俺はそいつに問いかけた。

「…………」

 そいつは答えなかった。
 目深にかぶったフードの下で、鋭い眼光が俺を見据えている。

 闇夜に赤い輝きが二つ――。

「捕らえろ」

 俺は衛兵たちに命じた。

「――いや、やっぱり待て。俺が直接やる」

 すぐに命令を中断する。

 相手はただものじゃなさそうだ。
 衛兵たちじゃ勝てないかもしれない。

 無駄に犠牲を出すより、俺自身が直接戦った方がいい。

「し、しかし、ベルダ様……」
「危険です。ここは我らに!」

 俺への忠誠心ゆえか、命令を無視して衛兵たちが侵入者に向かう。

「やめろ!」

 俺は叫んだけど間に合わなかった。

 ざんっ!
 ざんざんざんざんざんっ!

 闇夜に無数の銀光が閃く。
 それが奴の放った連続した剣閃だと気づいたとき――。

 衛兵たちは全員倒れていた。

「お前……!」

 俺はぎりっと奥歯を噛みしめた。

「もう一度聞くぞ。お前は何者だ」
「――我が名はドレイク」

 マントとフードの人影が厳かに告げた。

「かつて魔界において『剣魔』と呼ばれし者」