わたしを乗せた車は、
そのまま
唖然とするマコトの横を
通り過ぎ、
駐車を回っていくけれど、、
「え、誰もいないのに、車、
動いてるの?!何?何?」
無我夢中で助手席に乗った
わたしは、
隣が無人の運転席で、
ハンドルが
独りでに動く様に
釘付け!!
『サユ!遠隔で2階から動かして
いるから!それより大丈夫か?』
嘘みたいな状況に、
驚いていると、
フロントに付けられた
レコーダーみたいな所から、
やっぱり
ナガレの声がした。
「だ、大丈夫。これ、すごいね。」
レコーダーに向かって、
息を整えながら返事をする。
『電話でパーキングデスパッチ
出来るんだよ。Wi-Fi範囲だけ
なんだけれど。役に立った。』
まだ頭の中は、
さっきの下衆いマコトの
言葉が回っているけれど、
「あ、あの、ユカが車で送って
くれるから、大丈夫だよ。」
それを打ち消す様に
大丈夫な状況を説明する
わたし。
気持ち悪い。
『田中?じゃあもしかしてEVの
モーブカラーのやつ?』
続けて言われた言葉に、
嫌悪感で
身震いする自分の意識を戻して
ユカのEV車を思い出すと、
とにかく答える。
「、、、あ、そうラベンダー色
みたいな 車、、ユカの、
旦那さんが運転してくれる。」
『じゃあ、あれだな。横に付ける
から、乗り換えたらいい。』
乗り換える。
そうだ、ユカの車に。
この車は、
本人は乗っていなくても
ナガレの車。
車内を見回せば、、
「、、、うん。、ありがとう。」
わたしは、
ナガレにレコーダー越しに
お礼を告げた。
車はゆっくりとした速度で
表の駐車場に来ると、
わたしを探す
ユカのEV車が横に並ぶ。
そこにはユカが電話を掛けながら
立っていて、
今更ながら自分の電話が
振動をしていることに
気が付いた。
『ドア、開けるよ。』
乗せられた車は
ユカの前に止まると、
ナガレの言葉を合図に
魔法みたいにドアを開ける。
「え、あ?!どうしたのサユ!
電話してたんだけれど?!」
わたしが、
車から降りると、
ユカが唖然とした顔で
電話を持った手を振り回し、
わたしに詰め寄った。
「うん、ちょっと助けもらって。」
「何?!どーゆーこと?!え、
この車、無人じゃん!!うあ
最新のアレかー。誰のよ!!」
運転席の人間を確認しようと、
開いたドアから
覗き込んだユカが、
無人の運転席に
騒ぎはじめた。
『田中!!すぐ行け!!竹花さん
所沢に襲われそうだった!』
瞬間に、レコーダーから
ナガレの指示が
ユカに飛んだ!
「な、本当に!?サユ、乗って。
すぐに送るよ。ワタル出して!」
「わーった!!サユちゃん、
出すよ!シートベルトして!」
ナガレが放つ不穏な単語に、
さすがの
ユカが目を大きくすると、
直ぐ様わたしを
車に押し込め、自分も
隣に乗り込む。
「大丈夫です。」
ベルトの装置をわたしが告げると
車は、急発進した!!
ガラスから外を見る。
一瞬、
カラオケハウスのネオンが
点滅する建物の2階から
こっちに、
手を振る影が
見えたような気がした。
「あのシルエット、、」
広い肩と長い手足。
それに、
わたしを助けてくれた車は、
正面へと移動をしていて、
それも
もう遠くなっていく。
ほんの少し交わった
ナガレとの世界線。
あんなマコトとのことがあった
けれど、
わたしは、
そのシルエットを見て
スッキリした。
「サイテーなやつ、所沢!!
リリだけじゃなくサユに!
しかも車に連れ込むとかない!」
ユカはわたしの隣、
後部座席に並んで座るまま
わたしの体に
手を回して、
抱き締めながら
所沢マコトへの悪態をつく。
そんな
ユカが怒る姿を見て、
なんだか
わたしは安心した。
念のため、
もう一度後ろを振り返って
今度は
自分が連れ込まれそうになった
車がないかを見る。
さすがに、
追い掛けくるまでは、
しないらしい。
わたしは
ほっと息を付いた。
夜の国道をEV車は走っていく。
月は無くて
山は真っ暗だけれど、
こんな夏の夜には
星が帯になって見える。
「せっかくの同窓会だったのに
な。でも未遂で良かったよ。
今回の同窓会、ユカがもともと
やろうって言い始めたんだ。」
ユカの旦那さんである
ワタルさんが、
ハンドルを握りながら
話し始めたのは、
わたしが知らなかった
サプライズ話。
「え、そうだったんだ。」
わたしは、
まだ抱き付いているユカの
顔を改めて見た。
「何も言わないけれど、
サユちゃんの為だよ。いつも
なら帰省した同級生の飲み会で
終わらせるのを、同窓会に
したいって、幹事に働いてね。」
ワタルさんが、
そう言ってミラー越しに
ユカを面白そうに見ている。
それだけで、
仲がいい夫婦なのだと思う。
「だってサユ、また当分帰って
来ないじゃん!またイギリス
行くなんてさ!さみしいよ。」
「ユカ、、」
幼稚園から小中と一緒だった
ユカは、間違いなく親友。
短大を卒業してすぐに、
友達の紹介で知り合った
ワタルさんと結婚した
大事な友達。
そのユカにお盆の帰省を
電話した時、
話をしたのは
ファッションディレクターとして
フリーランスになる事。
そして、
かつて留学したイギリスで
仕事を探す事だった。
「サユーーーー。」
「よしよし。」
また泣きつくユカの頭を、
わたしは
ポンポンと撫でる。
当分、戻らない。
そんな
わたしに、ユカは
喫茶店で聞いたのだ。
『ナガレ、くるって。』
暗い空に満点の星が在る。
流れ星が見えるかなと
車から探すけれど、
さすがに見えない。
ユカからは、
わたしは
どう見えていたんだろう。
わたしは
まだくっついている
ユカのパーマヘアを
幼稚園の時からするみたいに
ポンポンと撫でた。
そのまま
唖然とするマコトの横を
通り過ぎ、
駐車を回っていくけれど、、
「え、誰もいないのに、車、
動いてるの?!何?何?」
無我夢中で助手席に乗った
わたしは、
隣が無人の運転席で、
ハンドルが
独りでに動く様に
釘付け!!
『サユ!遠隔で2階から動かして
いるから!それより大丈夫か?』
嘘みたいな状況に、
驚いていると、
フロントに付けられた
レコーダーみたいな所から、
やっぱり
ナガレの声がした。
「だ、大丈夫。これ、すごいね。」
レコーダーに向かって、
息を整えながら返事をする。
『電話でパーキングデスパッチ
出来るんだよ。Wi-Fi範囲だけ
なんだけれど。役に立った。』
まだ頭の中は、
さっきの下衆いマコトの
言葉が回っているけれど、
「あ、あの、ユカが車で送って
くれるから、大丈夫だよ。」
それを打ち消す様に
大丈夫な状況を説明する
わたし。
気持ち悪い。
『田中?じゃあもしかしてEVの
モーブカラーのやつ?』
続けて言われた言葉に、
嫌悪感で
身震いする自分の意識を戻して
ユカのEV車を思い出すと、
とにかく答える。
「、、、あ、そうラベンダー色
みたいな 車、、ユカの、
旦那さんが運転してくれる。」
『じゃあ、あれだな。横に付ける
から、乗り換えたらいい。』
乗り換える。
そうだ、ユカの車に。
この車は、
本人は乗っていなくても
ナガレの車。
車内を見回せば、、
「、、、うん。、ありがとう。」
わたしは、
ナガレにレコーダー越しに
お礼を告げた。
車はゆっくりとした速度で
表の駐車場に来ると、
わたしを探す
ユカのEV車が横に並ぶ。
そこにはユカが電話を掛けながら
立っていて、
今更ながら自分の電話が
振動をしていることに
気が付いた。
『ドア、開けるよ。』
乗せられた車は
ユカの前に止まると、
ナガレの言葉を合図に
魔法みたいにドアを開ける。
「え、あ?!どうしたのサユ!
電話してたんだけれど?!」
わたしが、
車から降りると、
ユカが唖然とした顔で
電話を持った手を振り回し、
わたしに詰め寄った。
「うん、ちょっと助けもらって。」
「何?!どーゆーこと?!え、
この車、無人じゃん!!うあ
最新のアレかー。誰のよ!!」
運転席の人間を確認しようと、
開いたドアから
覗き込んだユカが、
無人の運転席に
騒ぎはじめた。
『田中!!すぐ行け!!竹花さん
所沢に襲われそうだった!』
瞬間に、レコーダーから
ナガレの指示が
ユカに飛んだ!
「な、本当に!?サユ、乗って。
すぐに送るよ。ワタル出して!」
「わーった!!サユちゃん、
出すよ!シートベルトして!」
ナガレが放つ不穏な単語に、
さすがの
ユカが目を大きくすると、
直ぐ様わたしを
車に押し込め、自分も
隣に乗り込む。
「大丈夫です。」
ベルトの装置をわたしが告げると
車は、急発進した!!
ガラスから外を見る。
一瞬、
カラオケハウスのネオンが
点滅する建物の2階から
こっちに、
手を振る影が
見えたような気がした。
「あのシルエット、、」
広い肩と長い手足。
それに、
わたしを助けてくれた車は、
正面へと移動をしていて、
それも
もう遠くなっていく。
ほんの少し交わった
ナガレとの世界線。
あんなマコトとのことがあった
けれど、
わたしは、
そのシルエットを見て
スッキリした。
「サイテーなやつ、所沢!!
リリだけじゃなくサユに!
しかも車に連れ込むとかない!」
ユカはわたしの隣、
後部座席に並んで座るまま
わたしの体に
手を回して、
抱き締めながら
所沢マコトへの悪態をつく。
そんな
ユカが怒る姿を見て、
なんだか
わたしは安心した。
念のため、
もう一度後ろを振り返って
今度は
自分が連れ込まれそうになった
車がないかを見る。
さすがに、
追い掛けくるまでは、
しないらしい。
わたしは
ほっと息を付いた。
夜の国道をEV車は走っていく。
月は無くて
山は真っ暗だけれど、
こんな夏の夜には
星が帯になって見える。
「せっかくの同窓会だったのに
な。でも未遂で良かったよ。
今回の同窓会、ユカがもともと
やろうって言い始めたんだ。」
ユカの旦那さんである
ワタルさんが、
ハンドルを握りながら
話し始めたのは、
わたしが知らなかった
サプライズ話。
「え、そうだったんだ。」
わたしは、
まだ抱き付いているユカの
顔を改めて見た。
「何も言わないけれど、
サユちゃんの為だよ。いつも
なら帰省した同級生の飲み会で
終わらせるのを、同窓会に
したいって、幹事に働いてね。」
ワタルさんが、
そう言ってミラー越しに
ユカを面白そうに見ている。
それだけで、
仲がいい夫婦なのだと思う。
「だってサユ、また当分帰って
来ないじゃん!またイギリス
行くなんてさ!さみしいよ。」
「ユカ、、」
幼稚園から小中と一緒だった
ユカは、間違いなく親友。
短大を卒業してすぐに、
友達の紹介で知り合った
ワタルさんと結婚した
大事な友達。
そのユカにお盆の帰省を
電話した時、
話をしたのは
ファッションディレクターとして
フリーランスになる事。
そして、
かつて留学したイギリスで
仕事を探す事だった。
「サユーーーー。」
「よしよし。」
また泣きつくユカの頭を、
わたしは
ポンポンと撫でる。
当分、戻らない。
そんな
わたしに、ユカは
喫茶店で聞いたのだ。
『ナガレ、くるって。』
暗い空に満点の星が在る。
流れ星が見えるかなと
車から探すけれど、
さすがに見えない。
ユカからは、
わたしは
どう見えていたんだろう。
わたしは
まだくっついている
ユカのパーマヘアを
幼稚園の時からするみたいに
ポンポンと撫でた。