わたしね、
クリスマス当日になって
ようやくナガレに進路のことを
言えて、
そのまま一旦別れて欲しいって
いったでしょ。

待っててって言うことも
出来たけれど、
それはダメなんじゃ
ないかなと思ってたんだよ。

だから、
その後もナガレには会わないって
決めて準備するので
気持ちに蓋をしたよ。

きっと会ったら
流されてしまうから。
でも
本当は
どうしたら良かったのかな。

せっかくのクリスマスに、
雨がミゾレになってたけれど
ホワイトクリスマス。

せっかくのナガレとの
特別な日を
わたしが泣いて、
台無しにしちゃった。

もしも
自分から告白した相手なら
こんな風にしなかったのかな?

先生はどう思う?

難しい顔するんだ、先生も。


日本に戻ったのはね、


別れてから
2年後の春だったかな。

桜の花弁が舞っていたもん。

皮肉なものだなあって思う。

高校の文化祭がきっかけで、
ナガレと付き合うようになった
けれど、
あの文化祭でね、
わたし達のクラスは、
ファッションカフェって
したの。

好評だったんだよ。
皆んなが、自分で好きな服を
スタイリングとか服作って、
ファッションショーをカフェで
するのね。
グッズとかも作ってね。

わたしは、裏方。
内装とか、ショーの段取りとか
グッズ考えたりとか。
みんなは自分の作品を
アピールするんだけれど、
わたしは会計と内装とか企画だけ。

ナガレが友達と来てくれたなあ。
表のクラスの子達は
可愛い服なのに、
わたし制服で
何で?って言われけれどね!

でもね
クラスが文化祭総合優勝して、
業界紙に紹介されたの。

先生、すごいでしょ?
それから
担任の先生に
わたしは、デザインより
プロデュースとか
ディリクションが合ってるって
言われたのが
全部の始めかもね。

イギリスから戻った
空港に降りて、、、


日本の空気だって深呼吸した時。

目の前で桜が吹雪いてた。

当たり前だけれど、
桜を見ると
帰ってきたなあって実感したよ。

そしたらね、
すごくナガレを思い出した。

2度あった桜の季節も
ナガレと一緒だったからかな。
あぁ、3度だね。

うちの近くに桜並木あるでしょ?
塾で送ってもらった、
中3の春も。

あの時は、3人だったけれど
月が綺麗で、
夜に桜並木を歩くのは
楽しかったなあ。
桜って
匂いが、するのかって、
3人
花弁に顔を突っ込んだりして。

そんなことを、
花吹雪を見て思い出したから、

わたし、
ナガレに電話したの。

番号変えられたり、
着信拒否もされてなくて。

すぐに
ナガレが出た。

付き合っていた時でも、
あんなに直ぐメッセージ返したり、
電話出なかったのにね。

先生、その視線って
どんなやつ?

そんな顔、しないでよ。
先生って、
何でもお見通しなんでしょ?

それで
ナガレに伝えた。

帰ってきたから、
もし また会えるなら

付き合える?って。

どこかで、
ナガレは待っててくれてるって
都合よく考えてたんだたと思う。

でもね、
ダメだった。

そっか、ごめんね。じゃあ。

それで終わり。

なんだか、みじめ。
やっぱり
わたしは、しつこい女だったよ。

なのにね、

あの時に
ナガレに一旦別れようって
言ったから。
それなら
戻ったら
自分から元に戻りたいって
言うべきだって、

自分に自分で見栄はって。

物分かりいいフリを、
電話のナガレにも
自分自身にさえも
してみせるんだよ。

バカだなあ。

その証拠にね、
飛行機の音で紛れるように
わたし、
枯れるぐらい
大泣きしたんだもん。

結局、
わたしはナガレのことを
すごく好きだったんだよ。

それだけわかるのに、
ちょっと遠回りした
それだけだね。

ん?

もし別れてなかったら、
ナガレと続いてたか?

どうかな。

よく、
それでも同じ結果だったみたいな
歌とかあるけれど、

専門学校に行ってたら
ナガレといる未来もあったんじゃ
ないかな。
そう
先生の言うとおりだね。

ナガレと一緒でいることで
出来る、
わたし。

夢をえらんで
ひとりで歩けるように
なった
わたし。

選択は
残酷なほど
フイフティーフイフティー
だったって、

今だって思っているよ、

先生。