番外編 side/愛梨珠
あーしは鬼頭愛梨珠。
あーしはずっとご令嬢ってことで特別扱いだった。
それは嬉しいけど、周りに友達がいなくて寂しかった。
あーしには自慢のお兄ちゃんとお姉ちゃんがいる。
お兄ちゃんは成績優秀で顔良しだってよく聞く。お姉ちゃんは漆黒の来訪者と呼ばれていて、とっても自慢の二人だけど、たまにコンプレックスになってしまう時がある。
『──愛梨珠お嬢様、お姉様のようにできませんか?』
小さい時にお手伝いさんに言われた言葉は今でも傷となっている。
お姉ちゃんは華やかでなんでもできてしまう。それとは対照的なあーしは華やかに何かをすることができなかった。
お姉ちゃんは茶道や和歌など色々なことができた。
多分、あーしには華やかに何かをするということが合わなかったのかも。
『愛梨珠お嬢様はどこにいらっしゃるのですか?』
『あっちの部屋も探したけどいなかった……次は三階を見に行ってくる』
あーしは小さい頃は大人しくするのが難しかったらしい。
『ありすー?どこにいらっしゃるの?』
『ありすー!どこだー?』
そんな時にいつもお姉ちゃんとお兄ちゃんが探してくれた。
それがとても嬉しかった。
『ここだよっ!あーしはここ!』
『そんなとこにいたのか』
『まあ、こんなに泥だらけになっちゃって。すぐにばあやを呼んで来るわ』
パパもママもずっと忙しくて家にいなかった。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも大きくなって家にいなくなってしまった時はあーし一人しかいなくて楽しくなかった。
……でも、お兄ちゃんが家に帰って来た時は驚いたな。
だって、お兄ちゃんが知らない人を家に入れてたのだから。
お兄ちゃんはその人とすごく仲睦まじかった。
『あれ、お兄ちゃん。その人、彼女さん?』
冗談で言ったつもりだったのだが、返事は予想とは異なったものだった。
『うん』
ちょっと芽唯さんには嫉妬したけど、芽唯さんは憎めなかった。
とても優しくてずっと一人だったあーしにとっては傷を癒してくれる人だった。
パーティーの時なんかは芽唯さん、緊張していて。
芽唯さんを見てるとなんだか目を離せないのだ。
ねぇ、芽唯さん。
「あーしを救ってくれてありがとっ」
「……?私が愛梨珠ちゃんを助けたの?」
「そーだよ」
「そう?なら、よかった」
これからはもう一人じゃない。
番外編【完】
あーしは鬼頭愛梨珠。
あーしはずっとご令嬢ってことで特別扱いだった。
それは嬉しいけど、周りに友達がいなくて寂しかった。
あーしには自慢のお兄ちゃんとお姉ちゃんがいる。
お兄ちゃんは成績優秀で顔良しだってよく聞く。お姉ちゃんは漆黒の来訪者と呼ばれていて、とっても自慢の二人だけど、たまにコンプレックスになってしまう時がある。
『──愛梨珠お嬢様、お姉様のようにできませんか?』
小さい時にお手伝いさんに言われた言葉は今でも傷となっている。
お姉ちゃんは華やかでなんでもできてしまう。それとは対照的なあーしは華やかに何かをすることができなかった。
お姉ちゃんは茶道や和歌など色々なことができた。
多分、あーしには華やかに何かをするということが合わなかったのかも。
『愛梨珠お嬢様はどこにいらっしゃるのですか?』
『あっちの部屋も探したけどいなかった……次は三階を見に行ってくる』
あーしは小さい頃は大人しくするのが難しかったらしい。
『ありすー?どこにいらっしゃるの?』
『ありすー!どこだー?』
そんな時にいつもお姉ちゃんとお兄ちゃんが探してくれた。
それがとても嬉しかった。
『ここだよっ!あーしはここ!』
『そんなとこにいたのか』
『まあ、こんなに泥だらけになっちゃって。すぐにばあやを呼んで来るわ』
パパもママもずっと忙しくて家にいなかった。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも大きくなって家にいなくなってしまった時はあーし一人しかいなくて楽しくなかった。
……でも、お兄ちゃんが家に帰って来た時は驚いたな。
だって、お兄ちゃんが知らない人を家に入れてたのだから。
お兄ちゃんはその人とすごく仲睦まじかった。
『あれ、お兄ちゃん。その人、彼女さん?』
冗談で言ったつもりだったのだが、返事は予想とは異なったものだった。
『うん』
ちょっと芽唯さんには嫉妬したけど、芽唯さんは憎めなかった。
とても優しくてずっと一人だったあーしにとっては傷を癒してくれる人だった。
パーティーの時なんかは芽唯さん、緊張していて。
芽唯さんを見てるとなんだか目を離せないのだ。
ねぇ、芽唯さん。
「あーしを救ってくれてありがとっ」
「……?私が愛梨珠ちゃんを助けたの?」
「そーだよ」
「そう?なら、よかった」
これからはもう一人じゃない。
番外編【完】