そして、放課後。
「そうだっ!皆、明日暇?」
新菜ちゃんが満面の笑みでこっちを見た。
「ええ。空いていますわ」
「私は暇よ」
「なら、皆でお出かけしようよ!」
私と俊君と新菜ちゃん、美月さんとメアリで出かけることになった。
家に帰って明日着る服を選ぶ。
「芽唯?なにしてるの?」
「明日着る服を選んでいたの」
「そっか。……じゃあ、明日は楽しみにしておかないと」
俊君は甘い笑みを浮かべて部屋を出て行った。
私は顔が真っ赤になっていると思う。
翌日、やって来たのは有名なテーマパーク。
美月さんは高級車での登場。
「テーマパークなんて初めて来ましたわ」
さすが令嬢というべきだろうか。
「確かに美月はこういう場所に来なさそうね」
「メアリも同じではなくて?」
「私は何度も来ているわよ。一緒にしないで」
今見ると結構美月さんとメアリは仲良しなんだなと思う。
「はぁ……天国みたい。推しが尊い……」
私の隣ではうっとりとしている新菜ちゃんが。
新菜ちゃんって思ったよりもオタク気質……?
「行こう」
私は俊君と手をつないだ。
「あれっ!次はあれに乗ろう!」
新菜ちゃんが指さしたのはジェットコースターだった。
「あれは……ジェットコースターでして?」
「そうだよ!楽しそうでしょ?」
「そ、そうですわね」
美月さんは目の前に繰り広げられる光景に驚いているようだ。
「美月、洋服の勉強している時にこういうもの見なかったの?」
メアリが少し呆れたように言う。
「とりあえず乗ろうよ、ね?」
私が言うと美月さんは深呼吸をした。
「承知いたしました。皆さまがいらっしゃるもの、平気……」
「本当美月は世間知らずのお嬢様の鑑ね」
「あははっ」
メアリの言葉にその場にいる全員が頷いたのだった。
「はぁ……楽しかったー!皆付き合ってくれてありがとね」
「いえ。私も社会勉強になりましたわ」
ふと近くのベンチに目を向けると見覚えのある人が座っていた。
「七海……?」
そう。座っていたのは七海だった。
「芽唯どうかした?──あれって……」
「行って来てもいい?なにかあったらすぐに知らせるから」
俊君はすごく悩んでいるがどうにか許可は取れないだろうか。
「わかった。気を付けて」
「うん……!」
七海はまだ私に気づいていないよう。
「な、七海っ……!」
「えっ?芽唯……なんでここに」
「遊びに来ているの。七海こそなんでここに?」
もう昔のように七海の思い通りにはならない。
「あたしは……散歩よ。芽唯は最近どう?鬼頭君と仲良くしてる?」
「うん。……そういえば、お母さんは?」
七海の瞳が一瞬だが揺らいだ。
「お母さんは今一人で暮らしているの。芽唯がいなくなってから自分の愚かさに気が付いたからよ」
「そうなのっ?」
「うん。あたしもお母さんも一からやり直しをしているの」
「七海は新しい学校楽しい?」
「うん。とても楽しい。……芽唯、ありがとう」
何に対しての礼だろうか。
「芽唯がいなかったらあたしは嫌なヤツのまま。芽唯があたしたちの愚かさを気がつかしてくれた。だから感謝してる。……じゃあね」
七海は満面の笑みを浮かべて去って行った。
「ごめんっ。遅れた」
七海と別れた後、皆のほうに向かった。
「大丈夫ですわ。……芽唯は楽しく遊べましたか?」
「うん!とっても楽しかったよ。美月」
こうやって誰かと遊ぶことが少なかった私にとって大切な思い出になった。
「よーしっ!走って外まで競走だ!」
「えっ……ちょ、待ってよ!新菜」
「……芽唯、競走だってよ?行こうよ」
「うん!」
もう、誰にも何も言わせない。私は堂々と生きよう。
だって、俊君が隣にいてくれるから。
【完】
「そうだっ!皆、明日暇?」
新菜ちゃんが満面の笑みでこっちを見た。
「ええ。空いていますわ」
「私は暇よ」
「なら、皆でお出かけしようよ!」
私と俊君と新菜ちゃん、美月さんとメアリで出かけることになった。
家に帰って明日着る服を選ぶ。
「芽唯?なにしてるの?」
「明日着る服を選んでいたの」
「そっか。……じゃあ、明日は楽しみにしておかないと」
俊君は甘い笑みを浮かべて部屋を出て行った。
私は顔が真っ赤になっていると思う。
翌日、やって来たのは有名なテーマパーク。
美月さんは高級車での登場。
「テーマパークなんて初めて来ましたわ」
さすが令嬢というべきだろうか。
「確かに美月はこういう場所に来なさそうね」
「メアリも同じではなくて?」
「私は何度も来ているわよ。一緒にしないで」
今見ると結構美月さんとメアリは仲良しなんだなと思う。
「はぁ……天国みたい。推しが尊い……」
私の隣ではうっとりとしている新菜ちゃんが。
新菜ちゃんって思ったよりもオタク気質……?
「行こう」
私は俊君と手をつないだ。
「あれっ!次はあれに乗ろう!」
新菜ちゃんが指さしたのはジェットコースターだった。
「あれは……ジェットコースターでして?」
「そうだよ!楽しそうでしょ?」
「そ、そうですわね」
美月さんは目の前に繰り広げられる光景に驚いているようだ。
「美月、洋服の勉強している時にこういうもの見なかったの?」
メアリが少し呆れたように言う。
「とりあえず乗ろうよ、ね?」
私が言うと美月さんは深呼吸をした。
「承知いたしました。皆さまがいらっしゃるもの、平気……」
「本当美月は世間知らずのお嬢様の鑑ね」
「あははっ」
メアリの言葉にその場にいる全員が頷いたのだった。
「はぁ……楽しかったー!皆付き合ってくれてありがとね」
「いえ。私も社会勉強になりましたわ」
ふと近くのベンチに目を向けると見覚えのある人が座っていた。
「七海……?」
そう。座っていたのは七海だった。
「芽唯どうかした?──あれって……」
「行って来てもいい?なにかあったらすぐに知らせるから」
俊君はすごく悩んでいるがどうにか許可は取れないだろうか。
「わかった。気を付けて」
「うん……!」
七海はまだ私に気づいていないよう。
「な、七海っ……!」
「えっ?芽唯……なんでここに」
「遊びに来ているの。七海こそなんでここに?」
もう昔のように七海の思い通りにはならない。
「あたしは……散歩よ。芽唯は最近どう?鬼頭君と仲良くしてる?」
「うん。……そういえば、お母さんは?」
七海の瞳が一瞬だが揺らいだ。
「お母さんは今一人で暮らしているの。芽唯がいなくなってから自分の愚かさに気が付いたからよ」
「そうなのっ?」
「うん。あたしもお母さんも一からやり直しをしているの」
「七海は新しい学校楽しい?」
「うん。とても楽しい。……芽唯、ありがとう」
何に対しての礼だろうか。
「芽唯がいなかったらあたしは嫌なヤツのまま。芽唯があたしたちの愚かさを気がつかしてくれた。だから感謝してる。……じゃあね」
七海は満面の笑みを浮かべて去って行った。
「ごめんっ。遅れた」
七海と別れた後、皆のほうに向かった。
「大丈夫ですわ。……芽唯は楽しく遊べましたか?」
「うん!とっても楽しかったよ。美月」
こうやって誰かと遊ぶことが少なかった私にとって大切な思い出になった。
「よーしっ!走って外まで競走だ!」
「えっ……ちょ、待ってよ!新菜」
「……芽唯、競走だってよ?行こうよ」
「うん!」
もう、誰にも何も言わせない。私は堂々と生きよう。
だって、俊君が隣にいてくれるから。
【完】