鬼のイケメン同級生は私を溺愛したい

「……芽唯さん、緊張しすぎ。お兄ちゃん、どうにかして?」
「芽唯、楽にしてればいいんだよ」
 今日は鬼頭家が開催するパーティーに来ている。
「……お兄ちゃん!なんか、変な気配がするのはあーしだけ?」
 愛梨珠ちゃんが突然怖いことを言って来た。
「いや、俺も嫌な気配がするが」
「鬼頭家を敵に回すの?」
 愛梨珠ちゃんが柱の方に話しかけた。
「愛梨珠ちゃん?」
 私が言うと、何か白い物が目の前に落ちた。
「え?」
 その瞬間、黒い服を着た怪しい男性が舌打ちをして走り去ってしまった。
「待て!お遊びはまだ終わってないよ?」
 初めて見る愛梨珠ちゃんの顔に鳥肌が立つ。
「愛梨珠、大丈夫だ。逃がしても平気だ」
「なんで!あいつ、多分あーしたちのこと狙ってたんじゃない?芽唯さんにまで被害あったらどうすんの」
「そうだけど。俺たちは挨拶もある。警備の者たちに任せよう」
 俊君が言うと、愛梨珠ちゃんの殺気も落ち着いた。
「今のって、愛梨珠ちゃんの能力?」
 今見た白い物の正体が気になって仕方がない。
「ん?……電光石火。あーしは光を操れるの。主に稲妻かな。ほら」
 そう言って愛梨珠ちゃんは手のひらに小さな稲妻を落とした。
「す、すごい!」
「芽唯、そろそろ時間だ。行こう」
 俊君に手を引かれ大きな扉へ向かった。
「あ、俊様よ!」
「隣のお嬢さんは誰だろうか……」
 色々な声が飛び交っている。
 そんな中、一人の女性の声が聞こえた。 
「俊、愛梨珠。来ていたのね」
 長い髪は愛梨珠ちゃんと同じ栗色。
「ママ!久しぶり!」
 いつも大人びている愛梨珠ちゃんだが、今回は幼い子供に見える。
「母さん、久しぶり。父さんは?」
 会話を聞いていると私の目の前にいる女性が俊君と愛梨珠ちゃんのお母さんだとわかる。
「お父さんはもう少しで来るわ。……それよりも、そちらの子は?」
 私を見てコテンと首を傾げる女性。
「あ、斎藤芽唯です!」
 挨拶をすると女性はニコリと笑った。
「そう。俊のお友達かしら」
「いや、彼女」
 サラリと言う俊君に女性は驚いていた。
「まあ!俊、なんで教えてくれなかったの。芽唯ちゃん、名乗るのが遅くなってごめんなさいね。私は鬼頭真彩(まあや)と言います。よろしくね」
 俊君のお母さんが挨拶を済ますと一人の男性が近寄って来た。
「パパ!」
「父さん。久しぶり」
 俊君のお父さんは高身長で顔も整っている。
「久しぶり。そちらのお嬢さんは?」
「斎藤芽唯です!よろしくお願いします」
 挨拶をすると、俊君のお母さんが付け加えた。
「俊の彼女さんなのよ~。……愛梨珠は知っていたの?」
「もちろん!芽唯さんのおかげで色々助かったんだから」
 そう言い、私を見てはにかむ愛梨珠ちゃん。
「そうか。娘のことも俊のこともよろしくな」
「はい……!」
 こうして、俊君のお母さんとお父さんも含め、話をたくさんした後、愛梨珠ちゃんに呼ばれ、会場から少し離れた森に来た。
「前にさ、芽唯さんに友達ってどうすれば作れるか聞いたじゃん?」
 整備された道を歩いていたら愛梨珠ちゃんは足を止めて私の方に振り返った。
「うん」
「でね、芽唯さんにアドバイスもらって次の日。いつもよりも明るく笑顔で皆に挨拶したらいきなり謝られてね、ビックリしたんだから」
 呆れたような安心したような笑顔になる愛梨珠ちゃん。
「で、友達もたくさんできた。……芽唯さんに感謝しなきゃって思ったの。ありがとね」
「ううんっ!愛梨珠ちゃん、良かったね!」
 そういうと足音が聞こえた。
「ありすちゃーん!あっちで遊ぼ―!」
 愛梨珠ちゃんと同じくらいの年の子たちがぞろぞろと集まって来た。
「うん!……じゃあ、芽唯さんもお兄ちゃんと楽しんでね?」
 そう言って愛梨珠ちゃんは走り去って行った。
 そして、パーティーは終わり、俊君と家に帰った。
「ふぅ~。疲れた」
「頑張ったな。芽唯」
 そう言って頭を撫でてくれる俊君の手は温かい。
 この温かい居場所がとても安心できる。
 この嬉しさはいつまで続くのかな。