とぼとぼと教室に戻る廊下を歩いていると、ふと掲示板に目が留まった。
そこには、二学期はじめの学力テストの成績優秀者が貼りだされていた。
そこには当たり前のように、勝見君の名前があった。
どの教科にも、勝見君の名前が上位にある。

今までも勝見君はこうして掲示板に名前を連ねる常連だった。
だけどいつもは一桁の中盤、5位とか6位とか、そのあたりをのたりのたりとしていた。
だけど今回は、すべての科目で3位以内、総合では1位だ。

鼻から大きなため息が漏れる。
なぜなら、その成績優秀者の中に、私の名前は相変わらずひとつもないからだ。
二十位まで名前が書かれるのに、そのどこにも私の名前はない。

数学の一番上に書かれた勝見君の名前をそっとなぞる。
勝見君は数学が得意だ。
これは当然の結果。

そのまま指を横にすーっとスライドしていくと、英語の1位にたどり着く。

__勝見君、英語、頑張ったんだあ。

そりゃそうだよね、あんなところでバイトしてるんだもん。
英語、得意になるよね。

一科目ずつ勝見君の名前をなぞるたびに、愛しさと切なさが入り混じって溢れてくる。