夏休みになると、予定した通りに村井蒼空とレナの墓参りに向かった。墓参りには、京香と千夏、それに木村も参加してくれた。
それが終わると、今度は斗真の墓参りに向かった。僕にとって斗真の墓参りに来るのは、斗真が納骨されて以来だった。
七夕の日から、相変わらずの日々が続いていた。学校に行けば木村との変わらない日常を楽しみ、家に帰れば千夏とゲームをしながら、時々京香の説教に対して二人で舌を出していた。
七夕の日以降、僕も京香も特になにか変わったことはなかった。ただ、強いて言えば会話が増えたことと、シロの散歩を一緒に行くようになったぐらいだった。
線香に火をつけ、手を合わせる。もちろん、心に描くのは斗真の姿だった。
――斗真、兄らしいことをしてやれなかったこと、本当にごめんな。でも、いつか再会した時には仲良く遊ぼうな。その時まで僕は生きていくから、どうか見守ってて欲しい
斗真にそう告げて目を開ける。隣には、難しい顔をしてお参りする千夏と、それを呆れたように見つめる京香の姿があった。
「千夏、ちゃんとお参りした?」
「したよ。私専用のテレビを買ってもらえるようにって」
京香の問いに、千夏が照れながら答える。千夏の答えに、僕と木村は笑い声を上げ、京香はさらに呆れながらため息をついた。
「よし、墓参りも終わったことだし、ちょっと涼みに行くか?」
「あ、それならバス停の近くに美味しそうなかき氷屋さんがあったよ」
片付けを終えたところで、木村が出した案に千夏がすかさず食いついた。
「そうと決まれば――」
木村はそう呟くと、急に走る構えをとった。それを見て、僕も同じように走り出す準備を整えた。
「一番遅かった奴のおごりだ」
木村は言うと同時に走り出した。それを予測していた僕も、京香と千夏を置いて走り出した。
「ちょっと、卑怯だよ、お兄ちゃん!」
「待ってよー、秀兄ちゃん!」
背後で遅れをとった妹たちが悲痛な叫び声を上げる。その声に自然と頬が弛んだ僕は、振り返って早く来るように手招きした。
蝉の鳴き声が響く中、夏の日差しが容赦なく降り注いでいた。今年の夏は、色んな意味で暑くなりそうな予感がした。
~了~
それが終わると、今度は斗真の墓参りに向かった。僕にとって斗真の墓参りに来るのは、斗真が納骨されて以来だった。
七夕の日から、相変わらずの日々が続いていた。学校に行けば木村との変わらない日常を楽しみ、家に帰れば千夏とゲームをしながら、時々京香の説教に対して二人で舌を出していた。
七夕の日以降、僕も京香も特になにか変わったことはなかった。ただ、強いて言えば会話が増えたことと、シロの散歩を一緒に行くようになったぐらいだった。
線香に火をつけ、手を合わせる。もちろん、心に描くのは斗真の姿だった。
――斗真、兄らしいことをしてやれなかったこと、本当にごめんな。でも、いつか再会した時には仲良く遊ぼうな。その時まで僕は生きていくから、どうか見守ってて欲しい
斗真にそう告げて目を開ける。隣には、難しい顔をしてお参りする千夏と、それを呆れたように見つめる京香の姿があった。
「千夏、ちゃんとお参りした?」
「したよ。私専用のテレビを買ってもらえるようにって」
京香の問いに、千夏が照れながら答える。千夏の答えに、僕と木村は笑い声を上げ、京香はさらに呆れながらため息をついた。
「よし、墓参りも終わったことだし、ちょっと涼みに行くか?」
「あ、それならバス停の近くに美味しそうなかき氷屋さんがあったよ」
片付けを終えたところで、木村が出した案に千夏がすかさず食いついた。
「そうと決まれば――」
木村はそう呟くと、急に走る構えをとった。それを見て、僕も同じように走り出す準備を整えた。
「一番遅かった奴のおごりだ」
木村は言うと同時に走り出した。それを予測していた僕も、京香と千夏を置いて走り出した。
「ちょっと、卑怯だよ、お兄ちゃん!」
「待ってよー、秀兄ちゃん!」
背後で遅れをとった妹たちが悲痛な叫び声を上げる。その声に自然と頬が弛んだ僕は、振り返って早く来るように手招きした。
蝉の鳴き声が響く中、夏の日差しが容赦なく降り注いでいた。今年の夏は、色んな意味で暑くなりそうな予感がした。
~了~