初恋は実らない――。

 その言葉に、残念だけど私は頷くことになった。

 初恋の相手だった久保秀一は、私の兄になり、そして、殺したいほど憎い相手になった。

 これは、そんな殺したいほど憎むことになった秀兄を、許そうと決めたきっかけを見つけることになる私の物語。

 斗真の死に責任を感じている秀兄が自殺する直前に、胸に宿した願いを打ち明けることになった私の物語。

 願わくば、天の川の向こうにいる斗真にも届きますように――。