私はこういった恋仲と呼べる関係になったのは、紫電さまが初めてだし。穏やかな性格の彼は夫として完璧だ。慣れない妻としての仕事も頑張ったことは的確に褒めてくれるし、労いを欠かさない。彼の家来たちは、尊敬の出来る有能な上司を持ちさぞやりがいを持って働いているだろう。

 夜以外には、夫の欠点は全く見当たらない。

 訳も聞けないし彼とは離婚をしたくない私が、健やかに眠る彼の隣で夜に眠れずにまんじりとして夜明けを待ってしまうことも……これは、仕方のないことなのだ。