それから、どうしても忘れられなかったので、必死で身元を調べてくれて未婚と知ったので縁談を山神さまを通じて打診してくれた。

 彼からの申し出を聞いて、私は夢じゃないかと半信半疑ながらも、とても嬉しかった。

 挨拶に来てくれた紫電さまは美しい龍の化身で、なんと言っても容姿が良い。さらさらとした黒髪と、珍しい紫の瞳。海神としての仕事振りや周囲の評判も良く真面目で、性格も温厚だと言われれば、私には縁談を断る理由なんて何一つ思いつかなかった。

 そして、現在。

 私は彼の妻になり……当たり前なのだけど、同じ布団で同衾し夜は彼の隣で眠っている。

「雪風……なんだか、疲れているようだ。今日は、ゆっくり寝ておいで」