「良いのっ……! 私は紫電さまが好きだから、変態でもなんでも好きなのっ……! もう、虎太邪魔しないでよ!」

 私がそう言った瞬間に、いきなり強い光が満たされて、そこに居たのは空を飛ぶ龍。うねうねとした動きで、枝を飛び移る虎太とその腕に抱えられた私を追って来る。

「わ。やば! 龍化しやがった! くっそ。あいつにムカついてたから、言い過ぎた……あー……また迎えに来る。雪風。またな」

 そう言って虎太は、私をストンと地面に立たせた。大きな手で頬に触れて、俊敏な動きで去って行った。

「雪風……」

 私を目の前にして一瞬の内に人型へと姿を変えた紫電さまは、とても複雑そうな様子だ。

「紫電さまって……変態だったんですね」

 私のしみじみとした言葉を聞いて、彼は目に見えて大きな衝撃を受けた顔になった。

「う……違う。なんだか、おかしいとは思った。処女で大人しい性格の雪風があんなこと……そうだ。僕もなんだかおかしいとは、思っていたのに……」

「夢の中で、私としていたんですか?」