けれど、そう言われてしまうと、内容が気になってしまうのは仕方がない。私はちらっと傍に居た虎太を見た。虎太は紫電さまの反応を楽しんでいる様子で、ははっと大きな声で笑った。

「はいはい。海神のあんたは、山の中では半分以下の能力しか出せないもんなー? その状態で、雪風を傷つけずに俺を捕らえることが出来るならね」

 挑発するようにした虎太は、私を抱えたままで近くにあった木の枝に飛び乗った。

「……紫電さまっ!」

 咄嗟に立ち竦んでいる紫電さまの方に手を伸ばした私に、呆れたような様子で虎太は言った。

「あいつ。確かに顔は良いけど、変態だけど良いの? 雪風」

 私は、一瞬黙ってしまった。へんたい……へんたい……あんなに優しそうで、真面目そうなのに……美形なのに、変態……。