一体どういう事なのかと尋ねると、彼は「うむ」と頷いて再び口を開いた。ブランコのすぐ下にしゃがみ込んでいる彼女が、指先の砂を払って私達の会話を見守っていた。

「隼巳君から話を聞かされた時、怖がりでなくても恐怖心を持つよう仕組まれているように感じた。簡単ではあるけれど、やけに具体的なルールがまたリアルさをうむ」
「入りますっていう意味で『必ず』玄関をノックして、入ったら『必ず』時計回りで進みなさい、っていう決まりのことかしら?」
「そうだ。それでいて確実に作り話であるのかどうかも分からないから、僕らは『約束事を守らなければ、恐ろしいことが起こる』とも感じてしまうわけだろう?」

 ホラー定番のお決まりみたいなものだ。だからますます好奇心が煽られて、やらない方がいいというのなら、やってみたいと怖いもの見たさが出てきたりもする。

「恐怖を覚えるように仕組まれているんだよ。その【家】の設定にしたって、同じ窓を持った廊下しかないだなんて、普通の家だったら有り得ないだろう?」

 そう促されて、私は「まぁそうだね」と答えた。それを聞いた彼は、共感を得て少し満足したような声で「そうだろう」と言った。