隼巳の首は、強い力によって折られた後、捻じられている。それは、先の友人の不審な事故死の状況と同じだった。
「父さんは、あの日『柏沼津に行く』と言っていました。事故死した場所も、高速道路からそこへと続く最終トンネルの中だったんです」
これから私達が向かおうとしているのが、彼が目指していたという『柏沼津村』だった。ミサナが「そろそろタクシーを探すのを再開しますか」と怖さを振り払うように言って立ち上がり、空車のタクシーを呼ぶべく道路側へと向かう。
私は、既に葬式も終わってしまったらしい隼巳のことを考えた。
ひっそりと行われた葬式で、隼巳の首は正面を向いて眠っていたのだろうかと、そんな不謹慎な想像が脳裏をよぎった。
◆◆◆
私は、幼馴染だったその女の子が好きだった。
今思い返すと、それは異性に抱いた初めての恋心、とやらだったのかもしれない。高校生になって経験した心高まる熱く激しい恋とは少し違っていたが、私はいつでも暖かい瞳で【彼女】を見守っていたのだ。
「※※※君」
蕾のような唇が、そうやって私の名を呼ぶたびに、私も彼女の名を呼び返していた。
「父さんは、あの日『柏沼津に行く』と言っていました。事故死した場所も、高速道路からそこへと続く最終トンネルの中だったんです」
これから私達が向かおうとしているのが、彼が目指していたという『柏沼津村』だった。ミサナが「そろそろタクシーを探すのを再開しますか」と怖さを振り払うように言って立ち上がり、空車のタクシーを呼ぶべく道路側へと向かう。
私は、既に葬式も終わってしまったらしい隼巳のことを考えた。
ひっそりと行われた葬式で、隼巳の首は正面を向いて眠っていたのだろうかと、そんな不謹慎な想像が脳裏をよぎった。
◆◆◆
私は、幼馴染だったその女の子が好きだった。
今思い返すと、それは異性に抱いた初めての恋心、とやらだったのかもしれない。高校生になって経験した心高まる熱く激しい恋とは少し違っていたが、私はいつでも暖かい瞳で【彼女】を見守っていたのだ。
「※※※君」
蕾のような唇が、そうやって私の名を呼ぶたびに、私も彼女の名を呼び返していた。