どうやって隼巳が、それを見付けてしまえたのかは分からない。ただ私としては、あの【家】が実際に存在していたというのが信じられないでもいる。

 何より、当時行方不明になった彼女は、あの後の捜索でも遺体すら見つからなかった。だというのにまさか数十年経った今になって、彼女の手がかりが、全く別の土地で幼馴染の一人が見付けるという偶然があるものなのだろうか?

「父さんは覗き込んでみた窓から、廊下にそれが転がっていたのを見たそうです。その女の子の靴は、花飾りがついていて踵部分にネームの刺繍が入っている物だったから、間違いないって」

 私が考えていると、ミサナが思い返すような声でそう言った。

「全てを話してくれた父さんが、調べてくるって言い出した時、私は怖くなって『絶対に行かないで』って言いました。そうしたら父さんは、事件の証拠がないと警察は動いてくれないし、あの【家】が現実にあるなんて事も信じられないから、まずは自分で確かめてくる、と言って……」