私がそう考えて見つめていると、ミサナが意味もなく足の先を揺らして目を向けた。ややあってから、白状するようにポツリポツリと唇を動かせて言う。

「実を言うと、私は絶対にやりたくないなと思いました……違和感がある建物の設定も怖い感じがして、そんな怖い何かが起こるかもって想像するだけで、もうダメです」
「怖い何か…………」
「恐怖物の映画とかの印象も強いせいですかね。なんか、ただの遊びだったとしても、そういうモノに簡単に手を出しちゃいけないんじゃないかって思うんです」


「腕を、掴まれる」


 当時の事を思い出して、つい口にしてしまった。

 するとミサナが、突然なんですか怖いんですけど、という表情でガバリとこちらを見た。彼女から緊張を察した私は、場の空気を解すように肩をすくめ返して見せた。

「――たりする事もあるらしい、と聞いたことがあるなと思い出して」
「うわ、うわあああああもうッ、一瞬ぶわっと鳥肌が立ちましたよ!?」

 いきなり意味深な声出すの禁止ッ、と彼女が腕をさすりながら言った。