静岡から新幹線で出発したものの、途中で会話が途切れているのを思い出した。窓側には厳しさの和らいだ日差しがあり、チラリと腕時計を確認すると、午後三時を大きく過ぎてしまっていた。
私の向かい側に腰かける若い女性は、ミサナといった。自己紹介の際に二十六歳の社会人だと教えられたが、華奢で幼い顔立ちのせいか成人しているようには見えない。
私が彼女と知り合ったのは、つい数日前のことである。人付き合いが苦手で、ましてや異性と話すことに関してはとくに億劫になってしまう。それでもこうして自然体でいられるのは、彼女が幼い頃に過ごした幼馴染の雰囲気を持っているせいだろう。
「それにしても、彼が高校を卒業してすぐに結婚していたとはなぁ……」
「またそれですか? 稲畠さん、その台詞もう十回くらいは聞いてますよ」
水なしで飲めるという薬を私に手渡しながら、彼女が少年みたいに笑った。
その笑い方は私の幼少時代の幼馴染であり、友人だった隼巳にそっくりである。彼が口から整った白い歯を見せて、「シシシ」と笑っていた時の顔を思い出させた。
私の向かい側に腰かける若い女性は、ミサナといった。自己紹介の際に二十六歳の社会人だと教えられたが、華奢で幼い顔立ちのせいか成人しているようには見えない。
私が彼女と知り合ったのは、つい数日前のことである。人付き合いが苦手で、ましてや異性と話すことに関してはとくに億劫になってしまう。それでもこうして自然体でいられるのは、彼女が幼い頃に過ごした幼馴染の雰囲気を持っているせいだろう。
「それにしても、彼が高校を卒業してすぐに結婚していたとはなぁ……」
「またそれですか? 稲畠さん、その台詞もう十回くらいは聞いてますよ」
水なしで飲めるという薬を私に手渡しながら、彼女が少年みたいに笑った。
その笑い方は私の幼少時代の幼馴染であり、友人だった隼巳にそっくりである。彼が口から整った白い歯を見せて、「シシシ」と笑っていた時の顔を思い出させた。