プールの底に沈んでいるみたいだった五感が、途端に現実感を思い出させて戻り出した。アラタは、思わず涙が込み上げそうになった。優しくて暖かい、健気なほど真っ直ぐな友人達がそこにはいた。
つい、立ち尽くしてしまっていると、ゴミを出しに行く友人に背中を叩かれた。
「早く元気になれよ」
そう言われて、彼の顔を正面から見つめ返してハッとした。どこか辛そうな表情に、無理やり空元気な笑顔を浮かべて、気遣う目でこちらを見ていた。
「……ごめん。こんなの、俺らしくないよな」
すっかり体力も落ちている自分の手を見下ろして、ぎゅっと拳を作った。来週までには体調を戻して授業に出るからと彼らに約束して、体力を戻す二、三日分の買い物の協力をお願いした。
◆◆◆
そしてその翌週、アラタは大学生活に復帰した。
七月は取っている授業も少ないせいか、なんだか実感もなく日々だけがどんどん過ぎていくようだった。
困ったのは、引きこもり期間で寝坊癖がついてしまった事だ。授業に遅刻させてはいけないと、アラタを叩き起こす役目を、友人一同から『元彼女』のナナカが任命されていた。
つい、立ち尽くしてしまっていると、ゴミを出しに行く友人に背中を叩かれた。
「早く元気になれよ」
そう言われて、彼の顔を正面から見つめ返してハッとした。どこか辛そうな表情に、無理やり空元気な笑顔を浮かべて、気遣う目でこちらを見ていた。
「……ごめん。こんなの、俺らしくないよな」
すっかり体力も落ちている自分の手を見下ろして、ぎゅっと拳を作った。来週までには体調を戻して授業に出るからと彼らに約束して、体力を戻す二、三日分の買い物の協力をお願いした。
◆◆◆
そしてその翌週、アラタは大学生活に復帰した。
七月は取っている授業も少ないせいか、なんだか実感もなく日々だけがどんどん過ぎていくようだった。
困ったのは、引きこもり期間で寝坊癖がついてしまった事だ。授業に遅刻させてはいけないと、アラタを叩き起こす役目を、友人一同から『元彼女』のナナカが任命されていた。