「……あの、あんたと親父、本当に付き合いの長い友人なんですか?」
「わはははは! 飛び蹴りをくらうくらい打ち解けた仲だ!」
「え、あの親父が飛び蹴り? というか誇らしげに言ってるけど、それかなり乱暴――」
「おっと、それで入学届けの件なんだけどな」
大浜は勝手に本題へと戻して、アラタの困惑たっぷりの言葉も聞かないまま続ける。
「つまりは俺も書類を確認するのはこれからで、署名と印鑑も今からするんだわ。ちょうど週末休みだし、時間が大丈夫そうなら宿泊先に寄っていかねぇか?」
そう言いながら、大浜がくいっと手を動かして『飲む』仕草をした。
まだ高校三年生に対して、その誘い方はどうだろうかと思う。けれど小腹も空いているし、道中で食べ物をいくつか買って『合格お祝い会』をしようじゃないか、と続けられた大浜の提案は悪くなかった。
「親父は『おめでとう』の一言だったのに、会って二回目のあんたに祝われるなんて変な感じだ」
「ははは、すっかり猫被りな敬語も取れちまったなぁ。ケーキも買うか?」
「ケーキより、あったかいピザか肉まんがいい」
「まっ、だいぶ寒いもんなぁ」
大浜が、白い息を吐き出して曇空を見上げる。
「わはははは! 飛び蹴りをくらうくらい打ち解けた仲だ!」
「え、あの親父が飛び蹴り? というか誇らしげに言ってるけど、それかなり乱暴――」
「おっと、それで入学届けの件なんだけどな」
大浜は勝手に本題へと戻して、アラタの困惑たっぷりの言葉も聞かないまま続ける。
「つまりは俺も書類を確認するのはこれからで、署名と印鑑も今からするんだわ。ちょうど週末休みだし、時間が大丈夫そうなら宿泊先に寄っていかねぇか?」
そう言いながら、大浜がくいっと手を動かして『飲む』仕草をした。
まだ高校三年生に対して、その誘い方はどうだろうかと思う。けれど小腹も空いているし、道中で食べ物をいくつか買って『合格お祝い会』をしようじゃないか、と続けられた大浜の提案は悪くなかった。
「親父は『おめでとう』の一言だったのに、会って二回目のあんたに祝われるなんて変な感じだ」
「ははは、すっかり猫被りな敬語も取れちまったなぁ。ケーキも買うか?」
「ケーキより、あったかいピザか肉まんがいい」
「まっ、だいぶ寒いもんなぁ」
大浜が、白い息を吐き出して曇空を見上げる。