好きだ、好きだと僕は泣いた

 一階に降りようとした時、茶色い包みが壁に立てかけられているのが目に留まって、動きを止めた。急に足から力が抜けるのを感じて、ふらりとそのままベッドに腰かけた。

「――…………ああ、そうか。君は――」

 言い掛けて、不意に昨日、彼女の担任である秋山と話した事が思い出された。今日、彼が絵を取りに来る事になっているのだ。

「そうか。そうだった」

 自身に言い聞かせるように口にして、どうにか立ち上がる。けれどどうしてか、足はいつものように動いてくれなかった。寝起きで感覚が鈍いのか、裸足で床を踏みしめているはずなのにその踏み心地は曖昧で、ゆっくり慎重に歩かなければバランスを崩してしまいそうだった。

 どうにか足に力を入れて、絵が入っている包みに歩み寄った。それを取ろうと手を伸ばし掛けた彼方は、自分の指がわずかに震えているのを見た。

 困惑に顔を顰めて、自分の震える手を見つめた。なぜか心音まで乱れ始め、急に息苦しさを感じた。思わず動悸する胸元を押さえ、冷静さを取り戻すように深呼吸を繰り返した。