「明日、出来上がった宇津見さんの本を、彼女のご両親から預かる事になっているんだ」
そのまま控えめな微笑を浮かべて、そう切り出された。
どうやら、それもあって呼び出したようだ。だから彼はここに残っているのかと、彼方はまだうまく回らないでいる頭の中で考える。
「どうか君に渡してくれと、彼女がご両親に言ったらしい。君が宇津見さんに渡す事になっている絵を、その時向こうの両親へ預けたいと思うんだが、――それでいいかい?」
話を聞きながら、彼方は観察するように彼を眺めていた。秋山はしばらく眠れていないのか、よくよく見れば涼し気な顔立ちの目尻と鼻上に薄い皺を作っていた。彼が無理に微笑んだり言葉を出すたび、鼻上に二本の薄い皺が寄るのも見えた。
「受け取るのが明日の朝なんだ。どうだろう、もしかしたら都合が悪い?」
「……いいえ、大丈夫です。宜しくお願いします」
もう一度問い掛けられて我に返り、形上の言葉を数秒遅れで答えた。
そのまま控えめな微笑を浮かべて、そう切り出された。
どうやら、それもあって呼び出したようだ。だから彼はここに残っているのかと、彼方はまだうまく回らないでいる頭の中で考える。
「どうか君に渡してくれと、彼女がご両親に言ったらしい。君が宇津見さんに渡す事になっている絵を、その時向こうの両親へ預けたいと思うんだが、――それでいいかい?」
話を聞きながら、彼方は観察するように彼を眺めていた。秋山はしばらく眠れていないのか、よくよく見れば涼し気な顔立ちの目尻と鼻上に薄い皺を作っていた。彼が無理に微笑んだり言葉を出すたび、鼻上に二本の薄い皺が寄るのも見えた。
「受け取るのが明日の朝なんだ。どうだろう、もしかしたら都合が悪い?」
「……いいえ、大丈夫です。宜しくお願いします」
もう一度問い掛けられて我に返り、形上の言葉を数秒遅れで答えた。


