夏休みに入る前、宇津見恵は小さな違和感のような体調不良を訴え、念のため病院で検査する事になり学校を休んだ。
そして唐突に、両親から学校側へ連絡があったのだそうだ。指名を受けて対応に出た担任の秋山は、そこで彼らから泣きながら『どうか、娘を説得して欲しい』と頼まれたという。
「僕らとしても、すぐにでも治療を始めるべきだと思った。でも彼女は、余命を宣告した医者に時間が欲しいと言ったそうだ……最後になるかもしれないのなら、最後に自分だけの時間が欲しい、と……病院側から話を聞いて、僕は、それなら彼女の意見を尊重するべきだと……」
だから夏休みの間だけでも時間をくれませんか、と恵の味方をして、ご両親に頼み返したんだ、と。そう話す秋山の声はかすれ、次第に途切れて、最後には言葉も続かなくなった。
彼方は、ぼんやりとそれを聞いていた。感情と情報の整理が、時差でもあるみたいに追い付かないみたいだった。実感として込み上げないでいると、何度か大きく息を吸った秋山が、咳払いを一つし、打ちひしがれた顔を教師の顔に塗り替えてこちらを見てきた。
そして唐突に、両親から学校側へ連絡があったのだそうだ。指名を受けて対応に出た担任の秋山は、そこで彼らから泣きながら『どうか、娘を説得して欲しい』と頼まれたという。
「僕らとしても、すぐにでも治療を始めるべきだと思った。でも彼女は、余命を宣告した医者に時間が欲しいと言ったそうだ……最後になるかもしれないのなら、最後に自分だけの時間が欲しい、と……病院側から話を聞いて、僕は、それなら彼女の意見を尊重するべきだと……」
だから夏休みの間だけでも時間をくれませんか、と恵の味方をして、ご両親に頼み返したんだ、と。そう話す秋山の声はかすれ、次第に途切れて、最後には言葉も続かなくなった。
彼方は、ぼんやりとそれを聞いていた。感情と情報の整理が、時差でもあるみたいに追い付かないみたいだった。実感として込み上げないでいると、何度か大きく息を吸った秋山が、咳払いを一つし、打ちひしがれた顔を教師の顔に塗り替えてこちらを見てきた。


