好きだ、好きだと僕は泣いた

 喉がカラカラに乾いているみたいに、言葉が途切れ途切れになる。それでも黙っている秋山から、続く言葉を待っている配慮を感じてどうにか声を絞り出した。

「生まれて初めて、一生懸命描いたんです。交換しようと言って、テスト明けに渡す約束をしていたんだ」

 そう口にしてから目を向けたら、秋山が少し悲しそうに笑いかけてきた。そのまま静かに頷くのを見て、彼方は恵との作品交換の件を知っているのだと気付いた。

「――うん、その話は聞いているよ。だからテストが終わるまで、僕らの方で話し合って打ち明けるのを待っていたんだ」

 切り出された言葉を聞いて、ギシリっと胸が締め付けられた。日に日に感じていた嫌な予感に呑まれそうになって、彼方は相槌を打てなかった。

 じっと見つめ返していたら、秋山が組んだ手に目を落とした。

「…………再発した癌の進行がはやい」

 ぽつり、と彼が口にした。

「僕は去年、初めてこの学校で自分のクラスを持った。そして二年になっても、彼女がいるクラスの担任になった。とても元気な女の子で、知らせを聞いた時はまさかと思ったんだ」