「すまなかった。小学校の頃の知り合いだったと聞かされて、夏休みの期間だけ君と同じ部室にして欲しいと頼まれた。彼女の希望で、小野先生に協力してもらったんだ」
同僚を見送った秋山が、繰り返すようにそう切り出して再び頭を下げた。
どうして彼女はそんな事を、と彼方は尋ね返せなかった。思い返していた小学校時代の回想が、ようやくプツリと途切れて太腿の上にある拳をぎゅっとした。十四歳になった今、あの当時と違って無垢で無知なままではなく、なんとなく分かってしまえるような気もした。
「さっきも話した通り、宇津見さんは再発した癌の治療のため入院している。次、いつ登校するかは分からない。可能性の少ない手術が、もし成功したとしてもその後の治療もあって……」
説明の言葉が、先程からずっと耳と頭を素通りしていくようだった。
彼方は表情に出さないまま、痛いくらい拳を固める。難しい事は分からない。手術が成功するだけじゃダメなんて、そんな事知るはずもない。自分は知識の浅いただの中学生なのだ。
同僚を見送った秋山が、繰り返すようにそう切り出して再び頭を下げた。
どうして彼女はそんな事を、と彼方は尋ね返せなかった。思い返していた小学校時代の回想が、ようやくプツリと途切れて太腿の上にある拳をぎゅっとした。十四歳になった今、あの当時と違って無垢で無知なままではなく、なんとなく分かってしまえるような気もした。
「さっきも話した通り、宇津見さんは再発した癌の治療のため入院している。次、いつ登校するかは分からない。可能性の少ない手術が、もし成功したとしてもその後の治療もあって……」
説明の言葉が、先程からずっと耳と頭を素通りしていくようだった。
彼方は表情に出さないまま、痛いくらい拳を固める。難しい事は分からない。手術が成功するだけじゃダメなんて、そんな事知るはずもない。自分は知識の浅いただの中学生なのだ。


