彼方はその光景を眺めながら、外から聞こえてくる沢山の子供達の賑やかな声をしばらく耳にした。ボールを蹴る音、掛け声、陽気な笑い声に時々上がる歓声――。
「…………限られた命と、過ぎていく時があるから、その一瞬一瞬がキレイに見えるのかもしれない。僕らはきっと、そのようにして、世界に在り続けるのだろう」
自然と、そんな言葉を口にしていた。ずっとこちらを見ていた彼女が「うん」と答えて、つられたように賑やかな外の雰囲気が伝わってくる窓へと目を向けた。
そのあとに言葉をかわす機会はなく、それが『メグちゃん』との最初で最後の会話になった。
それから少しの学校生活を過ごした後、彼女は大きな手術に臨んだ。手術成功の知らせを学校側に伝えたあと、術後経過観察とリハビリ期間に入った。それからほどなくして、そのまま別の小学校に転校していった。
たった一日、そう話したのが一番長い会話だった。新しい勉強などをどんどん頭に詰め込んでいくうちに、『痩せ細っていたガリガリの女の子メグちゃん』を思い出さなくなった。
◆◆◆
美術室の窓ガラスを、雨が強さをそのままに激しく叩く音が続いている。
彼方は、その向こうの薄暗い夜をまとった曇天の下、色とりどりの傘が流れていく様子をぼんやりと眺めていた。一通り説明していった担任の小野が、生徒指導のため先に美術室を出ていく。
「…………限られた命と、過ぎていく時があるから、その一瞬一瞬がキレイに見えるのかもしれない。僕らはきっと、そのようにして、世界に在り続けるのだろう」
自然と、そんな言葉を口にしていた。ずっとこちらを見ていた彼女が「うん」と答えて、つられたように賑やかな外の雰囲気が伝わってくる窓へと目を向けた。
そのあとに言葉をかわす機会はなく、それが『メグちゃん』との最初で最後の会話になった。
それから少しの学校生活を過ごした後、彼女は大きな手術に臨んだ。手術成功の知らせを学校側に伝えたあと、術後経過観察とリハビリ期間に入った。それからほどなくして、そのまま別の小学校に転校していった。
たった一日、そう話したのが一番長い会話だった。新しい勉強などをどんどん頭に詰め込んでいくうちに、『痩せ細っていたガリガリの女の子メグちゃん』を思い出さなくなった。
◆◆◆
美術室の窓ガラスを、雨が強さをそのままに激しく叩く音が続いている。
彼方は、その向こうの薄暗い夜をまとった曇天の下、色とりどりの傘が流れていく様子をぼんやりと眺めていた。一通り説明していった担任の小野が、生徒指導のため先に美術室を出ていく。


