好きだ、好きだと僕は泣いた

「『うつみめぐみ』さんは、今、病気と必死に闘っています。それをあなた達は笑うのですか?」

 まだ一桁の年齢である彼方達に、二人の先生は病気の事を簡単に教えた。若ければ若いほど転移が早く、それでいて合併症も生じて何度か手術も受けているという。
 ひどく泣いたあの女の子は、無理やり走ったせいで体調不良になり早退してしまったらしい。笑った男の子達は、自分達がひどい事をしてしまったと知って青い顔をしていた。

「治療が無事に終わるまで、あの子は長い欠席も繰り返すでしょう。お休み明けの登校は、辛い治療から帰って来てのものですから、皆さんは温かく彼女を迎えてあげて下さい」

 色々と説明された中で、『癌』という言葉が頭に残った。帰ってから両親に尋ねた時、彼らが互いの顔を見合わせて「治療がうまく行くといいわねぇ」「まだ小さいのになぁ」という言葉に、彼方は女の子の置かれている状況を幼いながらに察した。

 その女の子は、翌週から少しだけ登校してきた。でもそれからまた長らく休み、次に顔を見た時には季節が変わってしまっていた。