好きだ、好きだと僕は泣いた

 細くて小さすぎる身体に対して、髪の量と色が合わないような印象を受けたせいだろう。不健康な青白い肌に対して、髪はごわっとした感じでクラス一の真っ黒な健康髪だった。

 休み時間になれば、ほとんどの子供達が教室を飛び出していった。残るのは大抵、絵を描き続ける彼方とその女の子だけだった。その痩せた小さな女の子は、自分の席に座ってじっとしていて、時々、彼方が視線を感じて振り返ると慌てて顔を下に向けていた。

 小学一年生だった当時も、彼方は飽きずに人の顔ばかり描いていた。耳が痛くなるような声で喋る同性の同級生達が苦手で、彼らがわっとはしゃいで教室を出ていくたび、じんじんと痛む気がする耳を少し叩く皮肉をやったりしたものだ。

 そんなある日、少し体格の大きな男の子が、その女の子を泣かせてしまった事がある。

 プールの授業が始まる前あたりだったように思う。彼女の髪がカツラであると知って、彼らは指を向けて笑ったのだ。彼女が泣いて飛び出して行った後、心底怒った表情をした担任と副担任がやってきて、次の授業の時間まで使ってひどく叱り付けた。