しばらくもしないうちに美術室が見えてきて、彼方は一度その前で足を止めた。
外がひどい雨のため、室内には明かりがついていた。中には小野と秋山がおり、神妙な顔つきで唇を小さく動かしていた。お互い顔も合わせず、夜のような雨空を見やっている。
不意に、自宅の部屋に置いてある完成した絵の事が思い起こされた。昨夜、完全に乾いているのを確認して、テスト期間が終わった後にでもすぐ渡せるよう、既に丁寧に包装してあった。
そう思い返した途端、恵が初めて美術室にやってきた日の事からが頭の中を巡っていった。
その大きな揺らぎに呑まれそうになって、彼方は大きく息を吸い込んだ。脳裏に蘇る映像や言葉が、溢れ出したそこ目掛けて逆流して戻っていくのを感じながら――。
「…………そうか。やっぱり僕らは『初対面じゃなかった』のか」
言いながら、静まり返った目を美術室に戻して、ゆっくりと前に進んだ。
目を引かれて、どうしてか恵と過ごす時間ばかりを思い返すようになった。そんな夏休みのある日、物憂げな彼女の横顔に、ふっと覚えた違和感の一つがソレだった。
外がひどい雨のため、室内には明かりがついていた。中には小野と秋山がおり、神妙な顔つきで唇を小さく動かしていた。お互い顔も合わせず、夜のような雨空を見やっている。
不意に、自宅の部屋に置いてある完成した絵の事が思い起こされた。昨夜、完全に乾いているのを確認して、テスト期間が終わった後にでもすぐ渡せるよう、既に丁寧に包装してあった。
そう思い返した途端、恵が初めて美術室にやってきた日の事からが頭の中を巡っていった。
その大きな揺らぎに呑まれそうになって、彼方は大きく息を吸い込んだ。脳裏に蘇る映像や言葉が、溢れ出したそこ目掛けて逆流して戻っていくのを感じながら――。
「…………そうか。やっぱり僕らは『初対面じゃなかった』のか」
言いながら、静まり返った目を美術室に戻して、ゆっくりと前に進んだ。
目を引かれて、どうしてか恵と過ごす時間ばかりを思い返すようになった。そんな夏休みのある日、物憂げな彼女の横顔に、ふっと覚えた違和感の一つがソレだった。


