好きだ、好きだと僕は泣いた

 教室にやってきた担任の小野が、やや呆れたように息を吐いた。一番騒いでいた華奢な男子生徒に目を向けると「タカナシ」と呼ぶ。

「テストが終わって嬉しいのは分かるが、近藤にプロレス技を掛けるのは『帰りの会』が終わってからにしなさい」
「先生ひっでぇ! 見てッ、タカナシしか楽しんでないよ!? それなのに俺、終わったらまたヘッドロックとかなくない!?」
「はいはい、幼馴染の面倒はしっかり見てやれよ近藤~」

 片手をひらひらと振って進み、小野が教壇に立つ。近藤と呼ばれた生徒が、頭を抱えて「従兄弟のこいつと同じ中学とかマジ嫌だ……ッ」と頭を抱えた。

 言われた通り解放した男子生徒タカナシが、きょとんとしたまま従兄弟を見つめた。それから、まるで直前までの事を忘れたかのように妙な立ちポーズを決めてから、「帰りにカラオケ行ける人!」とクラスメイト達に提案を投げた。手振りも落ち着きがなくて、はしゃぐ子犬みたいだった。