好きだ、好きだと僕は泣いた

 しかし、第二週に入った頃から、じわじわと足元から込み上げる予感と思いがあった。だから、会いに行こうとはしなかった。


――二組には恵がいるだろう。しかし、僕は、そこへ行ってはいけないのだ。


 その日も、その後日も、彼方は胸を締め付ける予感を振り払うように一層絵に力を入れた。

 ろくに睡眠も食事も取れなかった。何かに追われるかのように、テストが始まっても黙々と描き進めていた。勉学に関しては今だけ手を抜いてしまっていいんじゃないかと、精神的な疲労感に負けそうになった。そのたび、自分が恵に言った言葉が彼を突き動かしていた。


――『わかった。僕も頑張るから、君も頑張れ』


 今になって思うのは、何気ないその言葉は、彼女にとって意味があったのではないだろうかという事だ。それを思い出すたび、胸の中に巻き起こる台風のような荒々しい感情と気力に突き動かされて、彼方は前を向いた。

 だから、睨みつけるようにして一心に絵や勉強にあたった。でも本当は、彼自身が一番、その言葉がどうしようもなく意味のないものだとも知っていた。たとえ自分達が頑張ったとしても、努力や行動だけでどうにかなってくれない事もあるとは分かっていた。