普段、恵は「親の迎えがあるから」と言って、彼方よりも三十分前に出て行く。しかし、夏休み最後の日、新学期のために美術室の床の掃除まで手伝い、初めて下校時刻に一緒に美術室を出る事になった。
正門に辿り着くまでに、互いの家が反対方向にあるのだと分かった。途中まで歩いて帰る事は出来ないらしいと察して、彼方と恵は正門を出たところで立ち止まり向かい合った。
「ねぇ、今度会うのは、お互いがちゃんと作品を仕上げてからにしない?」
少し申し訳なさそうに微笑んで、彼女がそう言い出した。
「九月から自分の部室でやるわ。もし放送部の人達がまだ使うようだったら、他に仮部室を探してそこで集中する。ほら、だってどんな作品に仕上がるのか、秘密にしていた方が楽しみも大きいと思うの」
学校が始まったら、それぞれの場所で真面目に取り組む。部活動が出来ないテスト期間や、それまでの勉強時間も含めると、交換する作品作りに取り掛かる時間は少なくもあった。
正門に辿り着くまでに、互いの家が反対方向にあるのだと分かった。途中まで歩いて帰る事は出来ないらしいと察して、彼方と恵は正門を出たところで立ち止まり向かい合った。
「ねぇ、今度会うのは、お互いがちゃんと作品を仕上げてからにしない?」
少し申し訳なさそうに微笑んで、彼女がそう言い出した。
「九月から自分の部室でやるわ。もし放送部の人達がまだ使うようだったら、他に仮部室を探してそこで集中する。ほら、だってどんな作品に仕上がるのか、秘密にしていた方が楽しみも大きいと思うの」
学校が始まったら、それぞれの場所で真面目に取り組む。部活動が出来ないテスト期間や、それまでの勉強時間も含めると、交換する作品作りに取り掛かる時間は少なくもあった。