長い沈黙の後、恵が少しだけ身じろぎする音がした。
「…………ありがとう」
そのまま、ぽつりと囁くように述べられた。いつもの陽気な調子で言葉が返って来ると思っていた彼方は、何故か無性に胸のあたりがきゅうっと締め付けられて――でも、どこかでそんな言葉が返って来るのを知っていたような、どこまでも静かで切ない違和感に襲われた。
彼方はそっと目を閉じて、彼女の声を思い返した。そして、誰に言うわけでもなく「うん」と答えて、しばらく二人で窓の外から聞こえてくる生徒達の声に耳を澄ませていた。
◆◆◆
二人の夏休み最後の二日間は、特に変わりもなく過ぎていった。
彼方はいつものように絵を描き、写真集に関して仕上がりを待つばかりとなった恵は、いつものように勝手なお喋りを楽しみ、唐突にシャッターを切っては時々ふらりと出ていった。それから戻ってくると、写真部としての活動として新しい写真を撮ったと自慢しては、彼に見せてきた。
「…………ありがとう」
そのまま、ぽつりと囁くように述べられた。いつもの陽気な調子で言葉が返って来ると思っていた彼方は、何故か無性に胸のあたりがきゅうっと締め付けられて――でも、どこかでそんな言葉が返って来るのを知っていたような、どこまでも静かで切ない違和感に襲われた。
彼方はそっと目を閉じて、彼女の声を思い返した。そして、誰に言うわけでもなく「うん」と答えて、しばらく二人で窓の外から聞こえてくる生徒達の声に耳を澄ませていた。
◆◆◆
二人の夏休み最後の二日間は、特に変わりもなく過ぎていった。
彼方はいつものように絵を描き、写真集に関して仕上がりを待つばかりとなった恵は、いつものように勝手なお喋りを楽しみ、唐突にシャッターを切っては時々ふらりと出ていった。それから戻ってくると、写真部としての活動として新しい写真を撮ったと自慢しては、彼に見せてきた。


