「ねぇ、この絵、もらってもいい?」
「簡単にしか描いていない絵なのに、わさわざ記念品にでもするつもりかい?」
「気に入ったからもらうの。だってあなたが初めて、わざわざ私を描いてくれた絵だもの」
わざわざ、という言葉を言い返されてしまった。
彼方は、いつものように眉を顰めてみせた。それでも拒否はないと見て取り、恵が調子を戻したみたいに「ふふんっ」とどこか偉そうに仁王立ちした。
「それにね、記念品にするのなら、もっと可愛い私がいいじゃない?」
「それは、もう一枚描けという事かい」
「うわー嫌々そうな表情! ふふっ、だってあなた暇でしょ?」
話していると、彼女がいなかった数日間の違和感の方がかき消えて、不思議と胸に覚えていたもやもやしたものも薄れてしまっていた。
ちっともダメージになっていない様子で恵が笑うのを見て、声を掛けられた彼方は肩を竦めて「分かったよ」と言った。
「それなら、お互いの部活動の成果を交換する、というのはどうだろう?」
「私は写真集でいいでしょう?」
「それが出来るまで、君が暇を持て余すつもりなら、それでも構わないよ」
時間があって間に合うのなら、写真集とは別に写真部としての活動成果を何かしら作ればいい。大きな紙に写真を貼り付けていくのでも全然構わない、そう彼方が提案すると、恵はしばらく考えるような表情を浮かべた。
「簡単にしか描いていない絵なのに、わさわざ記念品にでもするつもりかい?」
「気に入ったからもらうの。だってあなたが初めて、わざわざ私を描いてくれた絵だもの」
わざわざ、という言葉を言い返されてしまった。
彼方は、いつものように眉を顰めてみせた。それでも拒否はないと見て取り、恵が調子を戻したみたいに「ふふんっ」とどこか偉そうに仁王立ちした。
「それにね、記念品にするのなら、もっと可愛い私がいいじゃない?」
「それは、もう一枚描けという事かい」
「うわー嫌々そうな表情! ふふっ、だってあなた暇でしょ?」
話していると、彼女がいなかった数日間の違和感の方がかき消えて、不思議と胸に覚えていたもやもやしたものも薄れてしまっていた。
ちっともダメージになっていない様子で恵が笑うのを見て、声を掛けられた彼方は肩を竦めて「分かったよ」と言った。
「それなら、お互いの部活動の成果を交換する、というのはどうだろう?」
「私は写真集でいいでしょう?」
「それが出来るまで、君が暇を持て余すつもりなら、それでも構わないよ」
時間があって間に合うのなら、写真集とは別に写真部としての活動成果を何かしら作ればいい。大きな紙に写真を貼り付けていくのでも全然構わない、そう彼方が提案すると、恵はしばらく考えるような表情を浮かべた。