「それで、ページ数を増やしてもらえる事になったのよ! 近くに泊まって翌日も会って、本の中身を細かく話して決めていって。あ、その人、お父さんの友達なのよ」
「ふうん。というか、上にあった四箱がおやつ分とか多すぎやしないか?」
「打合せしながら、写真のデータを見て一緒に決めていったから、もう追加する写真は決まっているの。――おやつにする分ならコレくらい普通よ。ああ、それでね! 店頭販売するわけじゃないから早く出来るんだって。とりあえず五十冊だよ。あなたにも一冊あげるね」

 とにかく喋り続けた恵が、ようやく水筒に入っていた水で喉を潤した。一息吐くと、小さな饅頭土産を頬張って、指先をペロリと舐める。

「そういえば、向こうはビル熱とかですごく暑かったよ。おかげで私の肌、また一段と黒くなった気がする」
「それは紫外線の熱じゃなくて、空気の熱だろ。特に変わってないよ」

 君はもともと健康肌じゃないか。

 言いながら、彼方は彼女の素肌を見て、自分の白い腕をチラリと見下ろした。恵も同じように視線を動かして、見比べて「そうかな?」と言う。